第2336話 70枚目:追い込み開始

「カバーさん」

「はい」

「何ですか、この諸々混ざった素材の山は」

「どうやら司令部がとあるツテから入手したものらしく、イベント参加者に頭割りされたようですね」

「とあるつて」


 みたいな事もあったが、無事(?)日曜日午後のログインは終了した。完全攻略されたステージの数は半分を越えて、一度に突入できる人数は500人、クラン数は5まで増えたらしい。

 クラン数に比べて人数の増え方が跳ねているが、残っているステージの数からすればまだ突入できる人数は減っている。だって四隅から突入できる制限時間無しの人数で2千人だぞ? 最終ステージのレイド戦でそれは、うん。

 まぁでも、同時突入できるクランの数が5まで増えたんだったら、大所帯クランに少人数クランがくっついていく、という事も出来るようになる訳だ。もちろん『アウセラー・クローネ』も、同盟クランからの選抜者と一緒に突入する事となる。


「準備は良いであるか? ――よし。ならば、突入するである」


 知り合いの範疇でも自動的に選ばれるのは、突入者の直径5m以内だ。数百人が集合するには流石に狭いのだが、どうやら同盟クラン所属者は、同行者として選べるリストに入っていたらしい。

 なので順当に『アウセラー・クローネ』のクランリーダーである「第一候補」を突入者として、イベントステージの1つに突入。今度は西側の北の端にある、鬱蒼と茂って空が見えない程深い森の、植物資源が手に入る特殊ステージが入口だ。


「ん?」

「あれ?」


 なお実際突入した時、エルルとサーニャが何かに気付いた風だったし、一部、主に『巡礼者の集い』の人達も周囲を見回していたが……うん。こう、空気がちょっとマシになってた気がする。ナンデダロウネー。

 それはそれとして、防衛兼穢れ払い兼採取要員を残して本命のステージへ突入だ。……うん。こっちは特に何も変わって無いな。

 それはそれとして、突入出来たらさくさく行動開始である。具体的には、それぞれ好きなように散開して、モンスターを召喚して倒すって事だ。同盟クランの人達も好きにする感じで。……大体は同盟を結ぶ理由になった相手と一緒に行動するんだろうけど。


「ひとまず目標は、召喚数一千です。もう1つ上の桁まで届かせる必要があるかもしれませんから、さくさく行きましょう」

「姫さん、あの鎧になるやつは?」

「行動速度と索敵に優れたクランの方が探して誘導してくれるそうなので、発見され次第撃破です」

「誘導先の基準は?」

「単純に発見された場所からの距離ですね。迷路的な意味で。もちろん鎧つきで戦闘中だった場合は除かれますけど」


 だから「第二候補」は、部屋そのものの大きさより、通路の数で腰を据える部屋を選んでたしな。私が移動するのは、そこからそこそこ離れた部屋だ。多角形の部屋だと微妙に動きにくいので、普通に長方形……ではないが、床部分が大きい形の部屋である。

 召喚するのは鉄か銀のゴーレムだ。……一部召喚者プレイヤーが「第二候補」のいる部屋に合流しようとしていた(掲示板情報)らしいが、止めておいた方がいいと思うんだよな。

 だって絶対に強さ基準でモンスターを召喚するからだ。戦線崩壊は止めろ=絶対に自分達で仕留められる強さまでにしてくれ、と念押しOHANASHIしておいたから、他の部屋に迷惑をかけるって事はない筈だが。


「……離れた場所で良かったのか?」

「誘導の事を考えれば、鎧つきとなったモンスターを絶対に倒せる戦力は散っておいた方がいいですからね」


 なお、巻き込まれたくないっていうのが無い訳では無い。そして同じことを考えた『アウセラー・クローネ』のメインメンバーにより、戦力は実にいい感じに離れて配置されてる感じになる筈だ。

 まぁまだこのステージの全体構造がはっきりした訳じゃないというか、レイド戦の部隊に相応しくめちゃくちゃ広いのが分かっているから、全体から見たら小さくまとまってるように見えるかもしれないんだけどな。

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