第2334話 70枚目:残り半日

 方針に困った時は司令部に相談だ。って事で問い合わせてみたところ、もうちょっとで完全攻略されたステージの数が3割に届くので、制限時間無しのステージで穢れを祓って下さいと回答があった。

 何故3割? と思ったが、冷静に考えたらレイドボスの行動変化があるのは、残り体力が7割を切った時……つまり、与えたダメージが3割に届いたタイミングだ。そこまでいったら何か変化があるのでは、と推測しているらしい。

 割と進んでなかったんだな? と思うが、どうやら無数のステージに召喚者プレイヤーが散らばった結果、こう、大体平均的に再挑戦回数が減っていっていたらしい。まぁそれはそうか。素材の事を考えたら、同じステージを回り続けるより、まず全てのステージを回ってみようってなるか。


「不人気な素材は無くなってしまっても構わないという事で、あんまり美味しくないステージの方が早く完全攻略される傾向にあるようですね」

「普通逆なのでは?」


 みたいな会話もあったが、そう言う事ならとうちの子フルメンバーで突入である。突入先は一番すぐ開いた=あんまり人気が無い、穢れを祓う事で鉱物資源が手に入る洞窟だった。最初に突入したところだな。

 今回は最初から浄化系のお札を山ほど作ってきていたし、初手で束のまま部屋の角に投げつけたので、割とすぐに魔法陣が出てきた。なおかつ、ここまでの挑戦者の誰かが気付いたらしいんだけど、魔法陣に浄化系の魔法を使ったり奇跡を願うと、チャージ速度が上がるみたいなんだ。

 何でだ? と思ったし、逆では? とも思ったんだが、どうやらこのチャージっていうのも浄化の一種って事になるらしい。だから同系統の力が与えられると、チャージが進むって事のようだ。……。まぁそれはそうか。


「かなり派手に使ってるみたいだが、どれだけ持ち込んだんだ?」

「山ほどですね。文字通り」


 という訳で、過去最高のペースで飛ばしつつ制限時間ギリギリまで粘ってみたところ、案の定、あの巨大すぎるワームみたいなものに一太刀入れる事が出来た。やっぱりあれが一番の大ボスだったか。

 まぁ一太刀入れたところで、傷から大量のモンスターが溢れてきたからそっちの対処に手間取っている間に時間切れになったんだが。流石に連続ログイン制限には勝てないし、中でログアウトすると強制退出だからな。【絆】や【契約】でテイム状態にある皆ごと。

 とりあえず、やっぱりあのデカイのが大ボスだったよ、と司令部に報告を上げてログアウトだ。これで日曜日の午前中は終了。


「……間に合うか?」


 なんて思ったけど、ログイン時間の制限はどうしようもないからな。やっぱり大ボリュームが過ぎるのでは? 召喚者プレイヤーの絶対人数に合わせてるのかも知れないが、新しく始めた人が全員最速で最前線に来れる訳じゃないんだが?

 ……それとも、装備性能とかだろうか。それだと私は黙るしかない訳なんだが。何せあのセット装備の性能があれなので……。


「うん。分からん」


 まぁ考えても分からない事をいつまでも考えててもしょうがない。と、お昼ご飯を食べて休憩。午後もまたどこかのステージ、たぶん四隅のどこかに突入して穢れ払いだろうから、固まってログインする事になるし。

 外部掲示板も覗いてみるが、間に合うかどうかをかなり怪しんでる雰囲気だ。そうなんだよな。加速状態だと3日あるとはいえ、そこまでに必要な手間というかフラグもしくはギミックがなぁ。


「……ん?」


 そうやって、時計を見ながらだらだらと外部掲示板を見ていたら、何か情報が入って来たらしくざわざわし始めた。発信元は内部掲示板であり、ログアウトして外部掲示板に書き込んだ人が複数いるらしい。

 ……という事は司令部の仕込みだな。と察しつつその内容を探し当てて確認する。まだ外部掲示板では真偽のほどが分からないとされているが、司令部の仕込みなら事実だろう。

 で、確認した中身はというと。


「あー、なるほど。推測は正解だった訳だ」


 本命ステージへの突入人数制限が、50人から100人になった上、クランも3つまで合同でいけるようになったらしい。

 つまり、突入条件の緩和だな。……やっぱり、ちゃんと周りを攻略してから突入しろって話だったか。

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