第2329話 70枚目:可能と許容
「なるほど……竜族の『勇者』をしてあの反応とは、と思ったであるが、これは、少なくとも外部の存在がいる場所で出すべき相手ではないであるな」
「「第四候補」の本気悲鳴なんて~、滅多に聞くものじゃない筈なんだけど~。って思ってたけど、これは悲鳴の1つ2つは上げるわね~」
というのが、当時鍍金の竜と戦っていなかった「第一候補」と「第五候補」の感想だ。ほんともう、「第二候補」は覚えとけよ。合同訓練を今後一切やらないとまでは慈悲と実益で言わないが、一定レベル以上の素材はもう融通してやらん。素材は全部こっちで回収して現金で支払うからな。
まぁ今回はそもそもの人数が違うし、私達も相当に強くなっている。何より、鍍金の竜に食われて能力ブースト+視界の拡大になるうっかりさんが1人もいなかったからな。時間はかかったし相応にしんどいのは確かだが、それだけだ。
時間がかかった分だけ、問題の謎のやつがこの部屋に湧いたり、どこかの通路から出てくる可能性はあったんだが……部屋に湧くのはともかく、通路から出てくる分は足止め組が頑張ってくれたらしい。本当に助かった。
「とりあえず、「第二候補」。今回収した分も含めて、
「……出すだけで済むかのう?」
「出せ」
「ど、どうどう「第三候補」、いやうん俺も不意打ちとか関係なく2回目は絶対に嫌だけど、とりあえず見た目恫喝だから。落ち着こう。な?」
「落ち着いていますし絶対持っているという確信を持っていますし、なんならあの謎のやつが部屋に湧くか突入してきたタイミングで召喚するのが見えているから、それを止めろと言っています。そして言っても聞かないでしょうから素材の没収にかかっているだけです」
「という言われ方をしている訳だけどもその辺どうよ「第二候補」。せめて若干は外れておいて欲しい」
「全く何も間違っておらんのじゃよな」
「だと思った!! せめて自分家で誰も巻き込まない状態でやってくれよっつーか
「あるにはあるが、「第三候補」のところで改めて倒した個体の方が状態が良くてのー」
「一周回って清々しいであるなー」
「巻き込まれる側からするとたまったものではないのだけどねぇ~」
ちなみに出させた素材はとりあえず「第一候補」に預かってもらい、ここを出てクランハウスに戻ってから返却してもらう予定だ。ここでモンスター召喚の為に使うなって言ってるだけだからな。
「なぁたいちょー。あれいいの? 殿下がチンピラみたいになってっけど」
「あの不死族相手はな……」
「これに関しては姫さんのあれも仕方ないよね」
そういう会話も聞こえたには聞こえたがスルーで。色々剥がれてた自覚はあるから。
思わぬ形で予想外に疲れる事になったが、元々戦力としては十分を通り越して過剰なのが現在の私達だ。なので、1人……ではないな。「第二候補」の所のメンバー全員は元気だったので、彼らに任せて休憩を取るぐらいは出来る。
なお、そうやってお任せしている間に別の
「あぁ、大丈夫であるぞ。なんなら何が起こるか見学していくと良い」
「クカカカ! さっきは手ごたえが無かったからのう。今度はいつものようにやらせてもらうぞい!」
「もしまだ他にもヤバイ素材を持ち込んでても、私達は防御に徹してますからね」
「流石に「第二候補」達が全滅したら相手してやんよー」
「事前バフは飛ばしておくから~、頑張ってね~」
この会話を参照で。ちなみにちゃっかりさっきまで相手していたのより強いモンスター、それも斬撃属性の攻撃が効きにくい金属ゴーレムを召喚した上で構造物製の人型を接触させていた。
まぁ、誰の迷惑にもならないように、自分達だけできっちり処理できるんならいいんだけどな。とりあえず、一度脱出したら今回の事を司令部に伝えて、「第二候補」が戦ってる場所は危険地帯になってるから近寄るなって警告出しておいてもらおう。
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