第1935話 64枚目:実行
流石に儀式用の穴を掘る道具なんぞ用意していないので、力場的除染が終わったら一旦【人化】を解除し、自分の手(爪)で穴を掘った。エルルからの視線があれだったが、たぶんこれが最適解だよ。
で、十分な穴が掘れたら【人化】して、2つの宝玉の形をした神器を取り出す。こちらはメールで届いていた「第一候補」からの祝詞を捧げて、神器を2つ一緒に穴に入れて、土をかぶせて埋める。
そして、エルルに抱えられて即行で脱出だ。何故かって?
「埋めた瞬間から地面が揺れるとは思って無いんですよね。託宣が来た時点で、今か今かと出番を待っていらっしゃったんでしょうけど」
もちろんエルルは私を退避させながら周囲に退避命令を出していたし、それを聞いた
どうやら「伸び拡がる模造の空禍」を相手に液体釣りというか、回収によって体積を減らしていた
結果として、私が退避してからしばらくすると、大変賑やかな事になっていた。うん。特に精霊獣系の子達、ブラッシングはちょっと待ってね。今割とそれどころじゃないから。
「先輩、なんかよく見る感じになってるっすね」
「ははは全くです」
まぁ私が精霊獣まみれになるのはともかく。
――ドォン!!! と、低く大きな音が響いた。カタカタと固定されていない物が揺れて音を立てる。
「来ましたね……」
「来たっすねー……」
悪人顔のイケオジ、豪快な派手好きでもあるからなぁ……。と思いながら、部屋の窓から神器を埋めた(使った)方向を見ると……まぁ分かっていたが、もくもくと大量の煙が吹き上がっていた。
黒と白の煙が混ざっているのはたぶん、エキドナ様の神器も一緒に埋めた(使った)からだな。黒煙、地面が焼かれて出る煙と、白煙、大量の水が一気に水蒸気になった水煙とが一瞬で大量発生したんだろう。
流石に遠すぎて「伸び拡がる模造の空禍」までは見えないのだが、2色の煙がぼん! ぼん! と噴き出しているのは良く見える。たぶん今頃あの煙の根元では、大量の溶岩と水が湧き出して、本体へ続く地下の空間へ流し込まれているんだろう。
「とりあえず、火山と地下水脈が完成するまではやる事がありませんね。しばらく休憩しておきましょう」
「っすね。少なくともレイドボスが地下から追い出されるまでは近づけねぇっすし」
オリジナルの時も、カルデラ湖(カルデラ湾)から放り出すところまでは噴火の力だったけど、そこから叩くのは
まぁ一番厄介だったのは、地盤崩落を起こす事と、それによってこちらの拠点を潰す事、及びそこまでの土地というか地面を吸収して体積を増やす事だったからな。補給がこちらの攻撃でしか出来なくなるなら、多少吸収されても後はひたすら高火力の攻撃で殴り続ければいい。
というかそもそも、神器を使ったんだ。オリジナルの時のように溶岩をぶっかけてもいいし、今回だとあっつあつのお湯も選択肢に入る。お湯が相手なら、あるからな。その場にある水を操作する
「お嬢」
「どうしました、エルル」
「何か召喚者が少人数で飛び出していったが、回収してきた方が良いか?」
「……。一応司令部に確認してください。観測班なら問題ありません」
「あぁ、あの……。……確かに奇跡で聖地が出来る光景なんてそうは見れないだろうが……」
うん。うん、まぁ、その。
なんというか、観測班に関しては、観測班だから……。としか。
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