第1456話 47枚目:イベントリザルト
サーニャが押され気味の戦場に参加すると……本当にあっさりと片付いた。まぁ劣化レイドボスを一撃で沈め、野良ダンジョンも秒殺で、旗持ちが展開してる力場内に踏み込んでも弱体化するどころか強化される本物の特級戦力が倍になったんだから、そりゃそうだ。
そして劣化レイドボスへの対処が余裕で間に合うようになれば、野良ダンジョンの数も減っていく。野良ダンジョンが減れば劣化レイドボスの出現頻度も落ちるし、全体のモンスターの増え方も落ちていく。
実際私に襲い掛かって来る推定邪神の『勇者』なモンスターも減っていったからな。そして、モンスターの増え方が落ちれば討伐が間に合い、モンスターの数自体が減っていく訳だ。
「そしてモンスターの数が減れば、特殊な動きをしている個体も見つけやすくなると……やっぱり居たんですね、単独で野良ダンジョンを増やせるモンスターが」
どうやら最初の、大陸の方から来たモンスターの群れに混ざっていたらしいそれを仕留めると、野良ダンジョンの増え方がガクッと落ちたようだ。後は殲滅戦と言う名の消化試合だな。
もちろんその間も大陸の方からモンスターはやって来ているんだが、完全に討伐が追いついている状態なら問題は起こらない。というか、もうモンスター側は力場の展開も出来なくなってるし。
なので、安心してログアウトする事が出来た訳だ。時間はかなりギリギリだったけど。
「他の場所とか、「第一候補」の方の様子も気になるけど……」
何とかなったと思いたい。と思いつつ、外部掲示板を軽くうろうろしてから就寝。いつもより早いからな。ちょっと違和感だ。
そして翌日も平日なので、普通に大学に行って講義を受けて帰宅。からの、夜のルーチンという名の日常を過ごし、今度はいつもの時間にログインだ。
カバーさんはもちろん、フライリーさんやソフィーさん達も大体同じぐらいの時間にログインしてくれたので、そのまま皆で大陸まで戻り、クランハウスに帰還する。うん。やっぱりホームは落ち着くな。
「さて、諸々確認していきましょう」
「っすねー。何か話を聞く限り、他の場所も大概な事になってたみたいっすけど」
『まぁそれも、こちらを片付けた皆様……というより、あのお2人が救援に向かうまでですわ』
どうやらエルルとサーニャは、あれからそのまま救援に行っていたようだ。後で掲示板を確認してみようか……すごい事になってそう。
なお改めて話を聞いてみたところ、サーニャもしっかり『勇者』になっていた。まぁそんな気はしたし、実際参戦してからの動きを見てたらそうだろうなとは思ってたけど。
さて、それはそれとしてイベントのリザルトだ。今回は攻略した野良ダンジョンの数と旗持ちを含む特殊個体の討伐数が個人で積み上がっていく形だったらしい。
「まぁ野良ダンジョンは、通常の攻略報酬がありましたからね」
「特殊個体の討伐数、やっぱり先輩は跳ねてるっすね……」
『まぁ、集中攻撃されていればそうもなりますわ』
野良ダンジョンの攻略数は通常報酬、イベント限定の武器とかだな。途中から建材が積み上がっていってたから、イベント期間全体でも数自体はそこまでいかない予定だったんだろう。
一方特殊個体だが、どうやら邪神の『勇者』になっていたのは旗持ち個体と別枠でカウントされていたようだ。正確には、「モンスターの『王』」による『勇者』相当と統合されていた。
なお劣化レイドボスはさらに別枠だった。……って事は、出現する事自体はイベントの仕様だったのか。明らかに数がおかしかったけど。
「旗持ち個体の討伐報酬が、通常の高級枠報酬なのはいいとして……」
「ほぼ大量の建材になってるっすね……」
『邪神抜きの個体数を考えれば、そうそう倒せる相手では無いのですわ。取り合いになっていたかも知れませんわね』
マリーの言う通り、旗持ち個体も、『勇者』相当及び劣化レイドボスも、そこまで数が出る予定じゃなかったんだろう。邪神の信徒による干渉で、これでもかと出てきてたけど。
なのでそちらは大半が建材だった。いくらあっても気が付いたら無くなってるし、間でちょくちょく「神々の塗料」が挟まってるのは素直に有り難いんだけど。
ただ。
「その、限られた個体数を倒した報酬が、何かしらのレシピと来ましたか……」
「……あの、先輩。何かこの材料と作り方、見覚えがあるんすけど」
『奇遇ですわね。
なお、私も見覚えがある。
だってそのレシピ、期間限定で使えるそれは。
……竜都の大陸で作りまくった、神の力を込めて投げる、あのアイテムのレシピなんだから。
またピッチングマシンが活躍するのか?
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