第1382話 42枚目:進行調節
「第四候補」に魔力を融通する事で更に自然回復力が削れた、というか自然回復しなくなって最大値から1割ほど減ったままになったが、これならこれで自然回復力が上がっていくので問題ない。普通に魔法を使う分は確保しているし。
というか巨大触手の迎撃で手一杯なんだけどな。必要なのは魔力ではなく威力だし、やり方を変えるのならいっそ街の修復が終わってからの方がいい。という事で、こちらは現状維持だ。
「まぁ現状維持と言っても、それが楽なんて事は無い訳ですが……!」
削れてる感じがあるだけマシってところだろうか。少なくとも相手の体力相当だろう、ビー玉サイズの核はそれなりのペースで壊せている筈だし。それに、大門を守るのが最優先だからな。
攻略を進めると何が出てくるかって言うのは「第二候補」にお任せするとして、こちらは消耗を抑えて街の修復を待つ状態だ。消耗と引き換えに火力を出すのは、本体を殴れるようになってからだな。
とはいえ……と、メニューから時間を見ると、残りログイン時間は9時間を切ろうとしている。これはやはり厳しいか?
「出来ればここで決めておきたいんですけどね……」
「そうですね! 今度は最初から妨害が入らない状態とはいえ、色々出費と消耗がシャレになっていませんので!」
次のイベントも建築・防衛系だと推測されている。だから余計に、ここで消耗している場合ではないんだ。生産系
ベテランになればなるほど、自分の消耗品ぐらいは自分で作れるようになっているだろうし、クランハウスにしっかりした設備を用意しているだろうが、それでも生産力の限界っていうのはある。
結果、どこかで消耗品の供給が追い付かず、そこから攻略が滞ってイベント失敗。という事になりかねないし、やりかねないのがフリアドの運営であり『自由』って事なんだよな、問題は。
「だからしばらく耐えるしかない訳ですが……!」
「焼け石に水でも各種スキルを上げておくしかありませんね! 幸いここはちぃ姫さんのお陰で、良質なサンドバッグが次々出現しますので!」
……。千切れた巨大触手の事、サンドバッグって言いきったな、スピンさん。いやまぁ、私もサンドバッグになってるなーとは思ってたけど。
しかし、確かにレベル上げは大事だ。となると、【並列詠唱】の枠にはまだ余裕があるし、私もちょっと試せる範囲で色々試してみるか。
「それならあの霧対策として、高温の領域と低温の領域を別々に設置してみましょうか。効果があれば御の字ですし」
「なるほど! 良い考えだと思います! 直接魔法の効果が出るタイプはあまり効果が見られませんでしたが、状態を変えるだけならいくらか効果がみられていましたので!」
一応既に試してはいたらしい。もっともそれをするぐらいなら火属性の攻撃魔法に回した方がいいって判断だったようだが。効果があったのなら、片手間にやる分には問題ないかな。
「たぶんエルルと「第二候補」が状況の進行に成功したって事は、無属性か物理の斬撃攻撃が最適解なんでしょうけど――[ファイアエッジ・ガトリング]!」
「その後の状況を聞く限り、現在こちらで状況を進行している余裕はありませんね! それぐらいなら現状を維持してスキルのレベルを上げた方がいいと思われます!」
あ、この巨大触手を何とかして次の段階に進んだらサンドバッグ()は出なくなるのか。なおかつ、余裕を持ってスキルのレベル上げをしている場合でもなくなると。
まぁそりゃそうだな。相手の攻勢が激しくなるとは聞いてるし、放置する訳にはいかないものの、丈夫なだけの比較的無害な相手は出てこなくなるだろう。もちろん経験値効率は良くなる可能性があるが、今は消耗を抑える方が大事だし。
今ここでスキルレベルを上げて、それが本当に役に立つのかと言われると、ちょっと困ってしまう訳だが……それでも多少なりとスキルレベルを上げれば種族レベルも上がるし、そうなればステータスも上がるだろうし、それなら各種バフの効果も上がるからね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます