第1346話 42枚目:行動と備え
大規模な戦闘はそのまま継続しているが、
もちろんいくら情報を制限したところで、動きからそこに何かあるのはどうしたってバレる。なんなら「モンスターの『王』」側からの情報で場所がバレている可能性もある。だからどこにどれだけの戦力を配置するかっていうのは、司令部と『バッドエンド』の戦略バトルである。
私は配置される側なのでノータッチだ。頭の作りどうなってんの?(誉め言葉)同士の頭脳戦なんて、混ざれる気がしない。むしろ巻き込むな。
「お嬢も大概だと思うんだが?」
「はははまさか。私に出来るのは拠点一個分の防衛までですよ」
「……「拠点一個分」の方向別、区域別の防衛は出来るのにか?」
「下手なこと言ったらあの頭脳陣の中に放り込まれるじゃないですか絶対に嫌です」
「そっちか」
なので私は指示を受ける側。やったとしても現場の隊長格までだからな。それ以上はやらないぞ。他の事が何もできなくなるし私は頭を使うと数割増しで疲れるんだ。
暇なぐらいであるこの領域スキル維持の方がずっと気が楽なんだよなーと思いつつ、とうとう追加で大型が出てくるようになった前線の方の様子を見る。取り巻きに加えて2体目か。そろそろ拡大を止めた方がいいかも知れない。
……と思ったが、なんか大丈夫そうだな。大型が追加された時の分断の仕方、っていう教材になってる。あれが本当の体験型学習ってか。
「まぁそれなら、両方に2体ずつ出てくるところまではそのままにしておきましょうか。ここもそれなりに重要ですが、本命はやはり街中央の本神殿ですし」
結局私はまだ行けてないのだが、「第一候補」は引き続きそこに領域スキルや儀式で力場を展開して、本神殿と“採録にして承継”の神を守っているんだろうし、その力を戻す為に色々している筈だ。
私は祈りを捧げて神様任せで展開しっぱなしの領域スキルだが、それに干渉して微調整とかしてたからな。何となく領域スキルというか力場が展開されている気配は分かるので、とりあえず今のところは大丈夫だろう。
「あとは、相手のリソースが残りどれくらいで、どのくらいのペースで削れているかを知りたいところですが、それは贅沢と言うものでしょうか」
「直接相手の力を引き出して形にして削ってる現状も相当だと思うが?」
「それもそうですね。ボックス様は本当に最高です」
とはいえ相手も対策するだろうし、そもそもゲテモノピエロこと『バッドエンド』の動き方が分からない。想定外の事でパニクっていたらちょっとはすっきりするが、あのゲテモノピエロに限ってそれは無いだろうし。
警戒は切らしていないし、「モンスターの『王』」をこちらに差し出したり実質的な生贄にしたりして、この図書街を壊滅させる、というかなり最悪な予想に対しても備えている。
……のだが、これまでも散々、最悪の最悪を想定しても良くて想定通り、悪ければさらに斜め上の事をやらかされてきたので、備えられているという感覚は薄いんだよな。
「とりあえず、“採録にして承継”の神が無事に目覚めるまでは現状維持ですかね。元凶を引き剥がすにしろ大規模戦闘が発生するにしろ、大規模な空間操作は色々な意味で無理がありますし」
リソースが無事に削れるか、主に「モンスターの『王』」に対する影響力的な意味で安全が確保されていれば目覚める筈だ。邪神勢力は……正規ルートからすれば想定外もいいところだろうから、正直予想がつかない。
しかしこっちのベストが「このまま何も仕掛けてこない事」なので、何か動きは見せると思うんだよな。妨害にしろ時間稼ぎにしろ囮にしろ、このまま大人しくしてるって事は無い筈だ。たぶん。
もちろん、こっちは警戒しているのだから、その分消耗は増えている。しかし、このまま放っておくと空間異常は無事解決となるだろう。そんな結末を、あっさり受け入れる、とは、とても思えないんだよなぁ。
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