第1341話 42枚目:対策効果

 雑魚モンスターが大挙してやってくる、という状況に、気のせいかヒャッハーしている召喚者プレイヤーを後ろから見守りつつ領域スキルの(ほぼ)最大展開を続けていると、再び空間が軋む音が聞こえた。

 かと思えば、襲い掛かってきていたモンスターの数がだんだんと減っていく。おやこれはもしかしなくても、「第一候補」の方で何かしたっぽいな。


『ふむ、上手くいったようであるな、「第三候補」』

『ウィスパーで大丈夫なんですか、「第一候補」』

『問題あるまい。こちらの力場同士が繋がっているであるし、そも聞かれても問題ない内容である』


 そして届くウィスパー。なるほど、確かにな。

 となると私もこの力場を引っ込めて合流した方がいいのか、と思ったのだが。


『ところで「第三候補」。その祈りもしや、かの神へのものであるか?』

『そうですよ。本来の神格ではないものの、ボックス様の試練ダンジョンがどんなものかは知っているでしょう?』

『なるほど、それはそうであるな。いや何、随分と順調に力場が削れていっていた故、何をしたのかと思ったのであるが』

『順調に行ったのは一緒に来てくれた皆さんの動きもありますけどね』


 ふむ。と思案するような声の後、「第一候補」がいう事には。


『「第三候補」。すまぬがその祈りと共に展開した力場、今しばらく維持できるであるか?』

『維持する分には何の問題も無くできますけど、今はモンスターが出てきていませんよ』

『我の方で干渉して、害となる力を排除しているからであるな。削れる時に削っておきたいのは確かであるし、形として目に見えて削っていけるのは精神的にも大変良いである』

『そちらへの移動は問題ありませんか?』

『問題ないであるな。それ以前に、干渉が出来なくなる程削ってしまえば良い話であるし』


 という事で、しばらくこのまま力場を維持する事になりそうだ。まぁいいんだけど。

 その後しばらく相談して、基本的にモンスターが湧くのは私から見て左右に限り、正面は本神殿との移動の為に確保しておくという感じで「第一候補」が調節する事になった。

 後は司令部に連絡して、今の状態を伝えた上で突入を再開してもらうように伝えれば準備完了だ。


「出来ればこのまま身動きできなくなるまで削り切りますよ! 引き際を絶対に見誤らない『バッドエンド』の事です、すでに撤退準備を始めている可能性もありますからね!」

「よっしゃー!」

「無双ゲータイムじゃー!」

「一泡吹かせるわよ!」

「削れ削れ削れー!」


 士気が高いのは大変良い事だな! もちろんこの間に、応援物資を持った召喚者プレイヤーは本神殿へと移動している。

 ついでに下がった人には私からリソースを供給するという形で回復すると伝える事で、主にポーション類を温存して戦う事が出来るだろう。今そういう消耗品を必要としているのは、本神殿で籠城している人達だからね。


「……やっぱり召喚者ってどこかしら戦闘狂なんじゃないのか」

「はははまさか。前回が痛み分けだったか、ギミックだらけだったことの反動ですよ」

「そうか? 明らかに戦闘を楽しんでるように見えるんだが?」

「反動です。もしくは『バッドエンド』に対する敵意が爆発しているだけです」

「そうか……?」


 そうだよ。確かに戦闘を楽しんでいる側面が無いとは言わないけど。今回特に殺るゲフンヤる気が高いのは、ここまでのあれこれがあるからだよ。主に難易度設定感覚が壊れてる疑惑の運営と、敵方ロールとしては花丸満点のゲテモノピエロ一派のせいだ。

 っさー、頑張っていこうか! いやーほんとうちの子全員で突入出来て良かったな、こんなバリバリ戦闘できるとは思ってなかったから! ボックス様、戦力が戦力だから中ボスとか出せそうならガンガンお願いします!

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