第1342話 42枚目:攻略進行

 無双ゲー状態で戦える場所がある、もとい、具体的に戦闘で相手のリソースを削る事が出来る、という話が伝わったからか、このタイミングで一気にベテラン召喚者プレイヤー達が空間異常へと突入してきた。

 お陰で私の周りは大盛況だ。もちろん本神殿への物資搬入も順調に進んでいるし、本神殿の方でもかなり激しい戦闘が行われているらしい。司令部が更新する掲示板を見る限りは、だが。


「まぁ正面から戦えば絶対にこちらが勝つのを分かっているから、あちらは徹底的に暗躍してきたんでしょうけど。逃がしませんよ」


 何せ一度入れば攻略完了まで出られない場所だからな。大きく動いている以上はかなり力が入ってるって事だろうし、本人が本当にいるかは分からないものの、かなり力のあるメンバーがいるのは間違いない。

 なんとかここで捕まえておきたいところだ。その為もあって最初から飛ばしてるんだし。もちろん一番の理由は、二度も攻略失敗してたまるかっていうあれなんだけど。攻略の消耗って絶対に小さくはないし。

 下がって回復する人が出るたびにリソースの投入量を微調整したりしていると、ドズンッッ!! と、大きなものが着地した感じの音が響いた。


「大型出現!」

「おっしゃあ来たなサンドバック!」

「集団戦に慣れてない召喚者プレイヤーは一応下がって!」

「アビリティコンボ用意っ!」

「特殊能力に注意! 特にオート反撃系!」


 ずざざざざ、と迎撃準備が整っていく。私から見て右手側に出現したのは、どろっと表面が溶けたようになっている大型の……たぶん元はオークとかそんなだろうか。幅も厚みもある、体格相応の武器を持った人型だ。

 高さは3m強といったところだろうか。高身長環境でも頭1つ以上に大きな姿は、その体格の良さもあって結構な圧がある。……まぁ、圧程度で退くような召喚者プレイヤーではないんだけど。


「観測班より全体連絡、対象に「モンスターの『王』」の1体“溶”かすの強い影響を確認! 直接攻撃する場合は武器の耐久度に注意し爆発系の攻撃は控えてください!」

「ガッテン承知ぃ!」

「貫通系魔法準備! 前衛は引き続き周りを宜しく!」

「しょーがねーな、魔法使い組、きっちり決めてこいよ!」


 という訳で、何気に私は初見だったモンスターは秒殺されていた。表面が溶けているように見えたが、それは割とそのままな理由だったんだな。スライムが多いって聞いてたけど、他のモンスターだとあぁいう感じになるのか。

 なお続けて、私から見て左手側に似たような大型モンスターが出現したのだが、こちらも以下略。うーん、何と言うか、飛んで火に入る夏の虫?

 しかし、「モンスターの『王』」の影響が強いモンスターが出てきたって事は、そろそろ邪神の力ではなく「モンスターの『王』」の影響の方が多くなってきたんだろうか。


「まぁ、ボックス様の力ではなく、普通に妨害しに来たっていうのも有り得るでしょうけど」


 こっちにもいるだろうレイドボスまで、こうやってモンスターの形でぶつりてきに力場と言うかリソースを削れないもんかな。そしてそのままレイドボスに突入したい。シンプルイズベスト。ギミック? しらないこですね。

 解決してからのんびりとそれぞれのペースでギミックというかミニイベントは挑戦するべきだよな……それがいつになるかは分からないけど。と思っている間に次の大型が来たようだ。お? 大型ラッシュか?


「折を見て「第一候補」に進捗というか、状況の確認をするべきですかね。入り口前は良くても他の場所はダメとかがあったらあれですし」


 と言っても、流石にこのまま通常空間でレイドボス戦に突入すると周辺被害が大変な事になっちゃうからな。今は周辺地形になってる本棚と本も、大事な資料とか物語とか記録なんだろうし。

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