第1339話 42枚目:行動開始
さて方針と状況がざっくり分かったところで、ちょっとシンキングタイムだ。何の事かって言うと、こっちには大出力で領域スキルを展開して各種耐性が桁外れに高い私以外に、邪神の影響及び「モンスターの『王』」の影響を受けない特級戦力がいる訳だよ。
「エルル、ちょっと先行して中央の本神殿へ行けませんか?」
「……まぁ俺1人なら行けると思うが」
「姫さん護衛の仕事って何か分かってる?」
「私が展開している力場の中で不届き者はまず無力化されますし、戦力的には十分ですからね。それこそなりふり構わず街を破壊する超巨大なモンスターとかが出てきても、時間稼ぎぐらいは出来るでしょう」
「…………なんならそのまま大規模魔法で吹っ飛ばしたり、大技の連携で沈めそうだな」
という訳で、『勇者』としての特性でその辺無視できるエルルに一足早い応援に行ってもらう事にした。だって本棚が濡れないように多少の屋根はあるにしても、空が見えてるし。つまり、上を通って移動すれば迷路構造は関係ないな?
……エルルが屋根に飛びあがってしばらくしたところで、何か明らかにデカくて固いものを「斬る」音が聞こえたんだが、まぁ妨害はしてくるだろうな。妨害して止められるかは別として。
「こちらに対する人質なのかも知れませんが、とりあえず向こうに街を傷つける様子はないようですね。ただしこの先広場とかがあってそこに大物が出てくる可能性はありますから、十分気を付けていきましょう」
旗を掲げたまま声をかけて元気なお返事をもらい、移動を続ける。外からだけでなく、内からも動いてもらえばその分展開が早くなるって言うのはあるだろうからね。
リソースを自然回復するうちに収めていたからか、それとも思った以上に抵抗があったからか、【王権領域】と【調律領域】の同時展開する力場の範囲は街の半径よりやや狭いぐらいだったらしい。土地自体との相性を含めても、竜都を丸ごと覆えた事を考えればぐっと範囲は狭くなっている。
まぁそれでも随分と相手のペースをかき乱す事は出来ただろうし、司令部からの突入中止要請を無視して空間異常に突入してきた
「彼らについては、当面私が引きずり回すことで隔離兼無力化するしかないですね」
「そうですね。この空間異常の中に入ると、外に出る事は出来ませんから。外に出せるなら、いくらでも隔離の方法はあるのですが」
ついでに情報を引き出す方法も。まぁ突入強行を誘導するぐらいなら下っ端も下っ端、下手すれば今回の為に雇われたバイトみたいな立場かも知れないけど。
そんな訳で、道幅も変わるしぐにゃぐにゃ曲がって、普通なら通りにくいだろう道をひたすらに移動し続けていると、突然周囲に湧いていたモンスターが全滅した。ん?
「お嬢」
「おやエルル、おかえりなさい。どうしました?」
ここはいったん止まるべきか、と思った瞬間に、中央の本神殿にいったはずのエルルが並走に加わった。何か「第一候補」からこっちに渡してほしい物でもあったかな。
「大神の加護で話をすると、内容が筒抜けになるかも知れないからって事で伝言だ。一旦入り口の所に戻って、そこで領域の出力を可能な限り上げてほしい、だと」
「大神の加護だよね? それが盗み聞きされるってどういう事?」
「あぁ、なるほど。偽物のメッセージを噛ませることが出来るぐらいですから、盗み聞きは十分に有り得ますね。分かりました」
「ねぇ姫さんそれボク聞いてないんだけど」
……。
…………。
そうか、ウィスパー上で「第一候補」に確認はとったが、そこから伝えてはいなかったな。同族補正で伝えたと思ってたけど、そういえば移動中&戦闘中だったか。
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