第1313話 42枚目:難易度進行
結構大型の檻だったからか、中ボス(仮称)のお代わりは4回で終わりとなった。5回戦ったことになるな。
ここまでなら次の動きを待つところだが、ここで大きな変化があった。観客席に半分埋まっていた大きな檻の1つが、とうとう壊れたのだ。
「まぁ耐久度の残りは大体わかっていたようですし。司令部がその進捗を管理して、このタイミングで壊した、という方が正しいんでしょうけど」
どうなったかって? お代わりが来たよ。
……詳しく言うと、壊れた檻はバラバラになって、その残骸の上に新しい巨大な檻が落ちてきた。そのおかげで壊れた檻の残骸が散弾みたいな状態で闘技場全体に飛んで来て、割と大惨事だ。
いやー、1つで良かったよね。あれだと全部同時に壊しても相殺とかしないだろうし。
「しかし、あのサイズでも即座にお代わりが来るとは思いませんでした」
もちろん直後に推定レイドボスの本体のスクリーンショットが更新されたが、こちらも特に変化があったようには見えなかった。これはスルーするのが正解か。せっかくの明確なダメージ源だけど。
流石に固定砲台をしている間はそれなりに忙しいので、じっくりスクリーンショットを眺めている訳にはいかないが、引っかかりは残っている。何が引っかかってるのか自分でも分からないって不便だなほんとに。
こういう時に相談していた「第一候補」は“採録にして承継”の方を攻略しているので、連絡は取れるが相談は出来ない。向こうも忙しいだろうし。といっても、今も一ヵ所、入り口に接した防衛拠点を守っている「第四候補」に相談できるかって言うと、それはたぶん分野が違うしなー。
「鎖と檻。鎖でできた天井。蓋。ドーム。立体構造。……やっぱり本体というか、重要なのは檻より鎖の気がするんですよね」
そして現在まともに壊すことが出来ているのは檻だけ。うん。やっぱりなんかダメなんだろうな。掠りダメージしか入ってないと言うべきか。この感覚はあれだ。雪でできた白熊の時と一緒だ。あれもギミックボスだったし。
考えながらも観客席から滝のように落ちてくるモンスターを倒していると、軋むような音が聞こえてきた。次の段階に進んだらしい。しかし今度は……多いな? 音自体が。
何だ、と思いながら司令部の中継動画をチラ見すると、今度は球体の檻というか、籠がたくさん天井から吊り下げられてきたらしい。降りてくる速度には差がある為、もし同じタイミングで止まったら高さがバラバラになるだろう。
「しかし中身は空。今までのパターンだと、それこそモンスターの詰め合わせぐらいは入っている筈ですが……」
たぶん周りからくるモンスターの処理をしながら備えている
さて何が来る、と構える
ぶつけない為に高さをずらしたのか? と内心首を傾げた瞬間。ちょっと広角に開いた球体の檻に、光が灯り、
「……こう来ます?」
開いた半球の先同士を直径として、闘技場の中央にあったモンスター召喚の魔法陣と同じものを出現させた。
当然そこからはモンスターが溢れ出てくる。高いところにあるのは自滅するのでは、と思ったら、そもそも飛ぶ能力を持っていたり、開いた檻を足場にして器用に降りて来たりしていた。
もちろん魔法陣が出てすぐにモンスターもろとも攻撃が殺到したが、どうやら今回、檻自体へのダメージは通らないらしい。という事は。
「魔法陣を解除しないと壊せないって事ですか。確かにその解除順を含めると大変複雑なギミックですが」
これは厄介どころじゃないな。しかもきっちり、檻同士の位置関係で辿り着くのが難しそうな場所ほど厄介なモンスターが出現するようになっているらしい。
流石にこのパターンだとお代わりは無いだろうが、これ、司令部が司令部してなかったら、攻略までにものすごい被害が出てたんじゃないか。だって絶対片付ける順番をよく考えないと、袋叩きにされて消耗ばかりが積み重なっていくタイプだろ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます