第1262話 42枚目:交換の仕組み
神の都合で時間の流れが操られる、もとい通常空間から隔離されるという事でエルルとサーニャはしばらく相談。私は
私はエルルと一緒に個室の1つへ入る。個人情報を守るという建前なので、案内人さんもついてこない。しかし流石に持てないから台車を借りる事になったが、すごい量のコインだな。
が。扉を閉めてから明かりがついたその部屋は、幅が2mぐらいしかなかった。にもかかわらず、奥行きは10mぐらいはありそうだ。しかも手前2mぐらいの所に幅いっぱいの机がある為、それ以上奥へ行く事が出来ない。
「なんか随分細長い部屋ですね?」
「景品を選べば分かる」
……珍しくエルルの声にうんざりした感じが滲んでいたので嫌な予感はしたが、ともかく机に近づいてみる。机の天板は右半分が白い石で、左半分が黒い石だった。そして私が近づくと、白い石の部分に文字が浮かび上がる。
どうやらタッチパネルのようなものらしく、触ると文字を動かす事が出来た。どうやら景品は種類や属性、なんなら傾向などから絞り込めるらしい。といっても今は「交換できる景品がありません」としか表示されないんだけど。
景品交換所では? と思っている間に、エルルがみっしりとコインの詰まった箱を、黒い石の部分に乗せた。途端、適当に開いていた「武器」の項目の下に、ずらっと色んな名前が出現する。
「なるほど、そこに乗せた分の景品が表示されるんですね」
「引き換えた景品もここに出てくるぞ。大きいのはあれだ。確か「手の平宝箱」か。あれと似た感じの、一回だけ開けられる箱に入ってる」
会話をしている間にエルルが次のコイン入りの箱を乗せると、端に表示されていたスクロールバーがぐっと短くなった。おっと、コイン数で見れる範囲が変わる類か。とりあえず一番最初の部分に戻っておこう。
戻ったら戻ったで、項目の横にカッコ書きによる数字が付けたされていた。エルルがコインの詰まった箱を乗せるとその数字が増えたので、項目を選ぶことで表示される景品の種類なのだろう。
絞り込み項目の種類によって大きく変わる数字をざっと見て……ちょっと確認しておこうか。具体的には一番数字が少なく伸びない「生き物」の部分を。
「これ、上限とかないんですかね」
「どっちのだ?」
「……って事は、投入できる額も景品の価値も上限はないんですね」
「あるかも知れないが、少なくとも俺は聞いたことが無いな」
多くは馬やそれに類する生き物で、それ以外は家畜、あるいは愛玩動物とされる中で珍しい種類の名前が並んでいる「生き物」項目のリストを見ながら口に出すと、最後のコインが詰まった箱を乗せつつエルルが答えてくれた。そうか。エルルが知らないのならたぶん無いな。
とりあえず「生き物」のところに爆弾もとい一点ものの景品は無かったので、項目一覧に戻る。どうしようかな。人気だからか「武器」や「装備」のところはすごい数が出てるから見るのにも時間がかかりそうだし。
というかちょっとコインを稼ぎ過ぎたのか、どの項目もすごい数になってるんだよな。……これは、数の少ない項目から順番に見ていくのが早そうか。何かあればよし、無ければ特殊金属の延べ棒とかもらおう。
「ちなみにエルル、これ、選んだらどうやって出てくるんですか?」
「あー……実は、選ぶだけならいくらでも選べるんだ、それ。ただ端に数字があるな? その数だけ、ダーツを投げられる。で、当たったものがこれと引き換えに出現する形だな」
これ、と言ったところで、黒い石の部分に積み上げられた、コインが詰まった箱の山を示すエルル。あー……ダーツ、ダーツか。なるほど。それでこんな縦長の部屋なのか。なんというか、こんなところまでゲーム風でなくても……って感じだが、“偶然にして運命”の神の神殿だからなぁ。
そうか。たぶんこれは、盤面を決めるって事なんだな。いくらでも選べるとはいえ、ものの価値によってはダーツの先がギリギリ入るぐらいの幅しかないとかもあるだろうし、ダーツの数と同じかそれ以下の報酬しか選ばなかった場合、神によって勝手に違うものが盤面に加えられるとかもありそうだ。
まぁ選んだところで、はずれ枠は勝手に付け加えられそうだけど。実際に当てるのも当然として、報酬もとい報酬候補を選ぶのもかなり頭を使うぞ、これ。
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