第1257話 42枚目:準備完了

 動きが決まればそれまでの時間は出来る事をやるだけなので、新発見でもなければ何も起こらずに時間は過ぎていく。つまり時間加速中は空間異常の攻略、それ以外は生産作業だな。

 途中での発見と言えば、あの「何か」こと神の眷属が謎の変化を起こした存在は、時間加速中なんかで一緒にモンスターハウス状態の空間異常に突入すると、そこにいる他の「何か」、もとい神の眷属を呼び寄せるらしい、というのが分かったぐらいか。

 空間異常そのものはほとんど解決されたが、聖地の方向と東に向かおうとすると、どこからともなく大量のモンスターが現れて襲い掛かって来るらしく、まだ探索は進んでいない。


「異常気象もそちらに進もうとすると発生率が明らかに上がりますしね。素直に目の前の問題を解決しろって事でしょう」

「ところで姫さん、これ、行き先本当にこっちで合ってるの?」

「合ってますよ」


 という訳で、司令部が事前告知をした日曜日だ。普段はちょっとのんびりしてからログインするのだが、今日はばっちりと朝一から準備万端状態である。

 なお、私が突入する空間異常は、南側の大陸の方だ。……そう。“偶然にして運命”の神の方である。まぁ、ここまでずっと南側の大陸を攻略してきたからね。今だけ北側の大陸に向かうって訳にもいかない。

 ただ向かう先がカジノって事で、エルルとサーニャは固定として、あと1人誰を連れていくかで結構悩んだ。竜族だけで固めると、ほら、その、ステータスの暴力だからさ。


「最悪、入場拒否される可能性もありますからね……」

「そこまでいかなくても、行ける場所が制限されるのはあるだろうな」

「むしろ他の人と同じ所へは行かせられないのが当然なんだからね、姫さん?」


 ちなみにフリアド世界における賭け事は現実のそれとあまり変わらない。恐らくスキルや魔法による不正を防止する仕組みはあるだろうが、ステータスの暴力でゴリ押せてしまいそうなゲームはいくつかあるからなー。そういうゲームは竜族お断りになってる可能性がある。

 それに皇女わたしはまず特別扱いされるだろうし、それはつまり情報と動きが制限されるって事だ。つまり基本的に別行動で、必要に応じて上手くやり取りしてもらう必要がある。

 なおかつ、カジノといういつもと違う場所では、いつもと違う戦い方・動き方が必要だ。主に一般人に紛れる形で探りを入れるって意味で。


「なので色々考えましたが……お願いできますか、ルチル。無理はしないでくださいね?」

「分かりましたー! 出来る範囲で頑張りますねー!」


 なので、その辺うちの子の中だと一番慣れてるというか、対人交渉スキル(主に可愛い好き召喚者プレイヤー達への対処)が一番高いルチルにお願いする事にした。単純に外出する機会が多いとか、押さえておいて欲しいポイントをちゃんとしてくれるとかいうのもあるけど。

 もちろん、時間加速が始まるまでは外とやりとりができるし、応援という形で支援物資を持ってきてもらう事が出来る。だから後の皆も、警戒と物資調達、生産作業という意味で大事なお留守番だ。


「仕掛けてくるとしたらここでしょうしね。外か内か、それとも別の場所かは分かりませんけど」

のろいの件も、まだそれを仕掛けた犯人については情報が足りないからな。流石にもう戦争は無いと思うが」

「年越しの時が酷かったからね! 目立った被害は無かったけど、それでも道とか防壁とかの修理が大変らしいよ」

「急に税を上げるんじゃないかって噂もありましたけどー、とりあえず今そういう動きはないみたいですねー」

「今の状況で、戦争やりたいので増税します、では、召喚者プレイヤーという戦力を手に入れた民衆に袋叩きにされるでしょう」


 そういう事なので、仕掛けてくるとしたら神様相手か「モンスターの『王』」と協力する形じゃないかなぁ……とは思う。思うが、今までの事を考えると、大体斜め上の方に予想を裏切られてきたからな。

 安心はできないが、それでも出来る限り備えつつ、ちょっかいを出される前にやるべき事をやり切るしかないんだよな。……賭け事は割と積極的に避けたい類なのだが、頑張るかー。

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