第1249話 42枚目:状況終了

 最終的にのろいの解除は残りログイン時間が1時間となった時に完了し、その後最後に大量追加された野良ダンジョンも何とか攻略し切られたようだ。最後の方は最後の方でかなり大騒ぎになってたみたいだけど。

 そして私も、年越しの儀式からの降臨案件も残りログイン時間が10分となったところでお開きとなり、ようやく領域スキルの全力展開を解除した。いやぁ、ここまで全力で展開し続けたのは、あの海を渡って沿岸の長い城みたいな砦を相手にしてた時以来じゃないか?

 残り時間が残り時間だったので、野良ダンジョンもほとんど残っていない。なので大人しくクランハウスの島に戻り、ログアウトだ。そしてすぐに就寝である。何せ既に1月1日だからね。


「で、午前中にログインして、すぐに謁見、というのは予想通りとして……」


 どうやら竜皇様おとうさま、だいぶ召喚者という存在に慣れてくれたらしく、スタンピートへの対処に動かした軍をそのまま一部野良ダンジョンの攻略に当ててくれて、その内私が使えそうなものを今回の働きへの報酬として取り置いてくれていたらしい。

 後は例の降臨案件。結局私は誰が来ていたのか知らないのだが、流石ティフォン様の眷属と言うべきか、裏方だった私にもちゃんと報酬を用意してくれたようだ。それの受け取りだった。

 野良ダンジョンの方は、うん、特殊金属の使われた装備だな。鋳つぶしても問題ない、特殊効果より素の性能が高いやつだ。流石だわー。そろそろ私の装備の合金具合が謎になってきてるけど。


「ところで、エルル。今回降臨されていた眷属の方というのは、結局どちら様だったんです?」

「眷属というか、始祖に連なる子供神だぞ。俺も話しか聞いてないが」


 まぁそうか。エルルは最前線で動いてただろうし。なおその後ニーアさんに聞いたところ、場所の節約の為か、祝福がメインだった為か、【人化】のように人の姿を取っていたとの事だ。そして名前は竜皇様のみに伝えられたと。……つまり分からんって事だな。

 そんな言いふらすもんでもないし、下手に情報を得たら頭がパンクしちゃったりする可能性もあるからなー。ましてお祝いの席だったし、神威という圧でその場を壊すのを避けるとそうなるか。

 で、そんな眷属様もとい子供神様から私への報酬は何だったかというと。


[アイテム:響鳴の大水晶

耐久度:100%

説明:与えられた振動や力を増幅し、周囲に伝播する力の強い水晶

   同じ水晶に効果を伝播させる事が可能

   加工の際他の素材と組み合わせれば、その素材にも伝播する力が働く

詳細:素材として利用可能

   装備品に加工時、スキル【響鳴】が確定付与

   増殖不可]


[スキル【響鳴】

説明:周囲に影響のある行動・スキルの効果範囲が増幅される

   効果範囲内に特定の素材があった場合、そこを起点に更に効果範囲が広がる

効果:効果対象が「範囲」となっているスキルの効果範囲が増幅される

   効果対象が不特定多数となっている加護・祝福の強度が増幅される

   「水晶」と名の付く素材を使っている装備品に効果が伝播する]


「……あの旗を更に強化しろと?」

「……これを強化に使って大丈夫なのか?」


 ちなみにこれを確認しているのは、図書館に行ってルール(本体)に聞いたからだ。何故かって? 実物は既にヘルマちゃん達生産組が持って行ってるからだよ。

 まだ一緒に使う素材の吟味段階なのか、「竜皇の御旗」は私が持ったままだ。野良ダンジョンから出てきた分の報酬は既に渡してあるんだけど、その話し合いにどうもカバーさんも参加してるみたいなんだよなぁ。

 うん。……今でも十分に戦略兵器だと思うんだけど、まだ強化するらしい。それにルールに見せてもらったこの詳細からするに、たぶん、素材の組み合わせによっては、それこそあの海を渡った時の戦場ぐらいは全部覆えるようになるんじゃないだろうか。


「…………控えめに言ってヤバいのでは?」

「そんな気はするが、神からの報酬だからなぁ……」


 え?

 もしかして、そのレベルの戦略兵器が今後の攻略には必須、とか言わないよな? 召喚者プレイヤーの最大レベルも平均レベルも、装備の質も上がってきてるのに?

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