第1223話 41枚目:地下にあったもの
身分認証で開いたって事は、少なくとも権利を持つ私が行かないといけないっていうのは確定。となると、護衛としてエルルが一緒に来るのも確定。ここで問題なのは、通路の幅がとても狭くて通路自体が暗いって事だ。
部屋はしっかり照らされているのだが、その明かりが通路に入ると不自然に減衰している。まぁ鍵となるのが(司令部の人達が読み取れた限り)闇属性かその派生属性なので、ここの住民は暗闇でもしっかり見える種族だったのだろう。
しかも狭いので、素早く前後を入れ替える、とかいう事が難しい。もちろんその状態で後方からの援護も難易度が高いし、その先で何が待っているかも分からない。何かがあって脱出する必要があるかも知れないし、その時エルルは私を抱えるだろう。
「なので、【人化】を解けば私の手の中に入ってしまえるルディルなら問題ないんじゃないかと」
「……そういう事なのか?」
「それにカバーさんは、まだ警戒しておく必要がありますし……」
「あぁ、そっちもあったねぇ」
「姫さんボクは!?」
「サーニャは踏み込んだだけで何かを刺激しそうなのでダメです。魔力属性的に」
「それはそうだけど……!」
それに最近は薬(毒)作りでしか発揮されていないが、ルディルはうちの子の中ではかなり素早さが高い。今はいつもの大荷物も(私がほとんど持ってるから)ないし、自力でもかなり逃げれる筈だ。
という事で、エルル、私、ルディルという順番で暗い通路を進んでいく。一応、シャッターを半分しか開けてないとはいえ宿光石のランタンを持ち込んでいるから、見えるんだけどね。しかし狭いな。エルルが割とぎりぎりだ。大太刀を振ったら引っかかりそう。振らずに済むならそれに越したことは無いんだけど。
何度も曲がり角があり、そのたびに数段の階段がある、というよく分からない構造の通路を進む事しばらく。
「
「それにしては、一度も他の場所とぶつからなかったな」
「ここまでの妙な道の折れ曲がり方がぁ、地上での建物の隙間と一緒だったんじゃないかなぁ?」
「……なるほど。あぁ、だから幅もこんなに狭いのか」
「それはそうとして、やけに回り道というか、遠回りが多い気もしますが……1本道だから戻れますけど、方向感覚が怪しくなる道のりでしたね」
「ルイルは連れてこれないねぇ」
「いや、流石に1本道で迷う事は無いだろ」
……どうだろう。ちょっと自信が無いぞ。どうしてそう行動したのか、っていうのが一番訳分からないのが迷子になる時のルイルだし。本当にどうしてあぁなった。知力に特化した反動か?
と、ともかく。地図を見る限りもうすぐ広場の下に辿り着く筈だ。本当に大きな空間があるならすぐに分かるだろうし、細かく仕切られていたりしない限りは何があるか確認できる筈だ。
改めてしっかり周囲に警戒及び注意しながら、距離的には最後の曲がり角を曲がる。ここにも数段の階段があったが、まずはその向こうを確認だ。
「……確かにこれは、広い空間、ですが……」
そこに広がり、【暗視☆】と宿光石のランタンで見えたのは、確かに広い空間だった。大きさは恐らく地上の広場と同じ、高さは今いる場所を基準として、下に2m、上に3mぐらいだろうか。
数段の階段の先に少しだけ通路が続き、その先に下まで降りる階段がある。そこまではここまでと同じく土のままだったが、その先は全て、黒い石のような物で覆われていた。
ただ、その中央にあったのが……どう見ても、檻なんだよな。それもかなり相当ごっついやつ。周りの床や壁を覆っているものと同じ黒い石のようなもので。……というか、床から生えてくる感じで一体化している。高さは恐らく2m弱、広さは2m四方と言ったところだろう。
「これはある意味すごいねぇ……。元々が黒いから分かりにくいけど、相当な血の匂いがするよぉ?」
「大神からの啓示だから有り得ないとは思うが、邪神の儀式場だったんじゃないかとちょっと思ったな……」
うん。私でもはっきり感じ取れるって、相当だぞ? しかもランタンの光で照らされているのを見る限り、その、檻の周りに、痛みを与える事を目的とした感じのあれこれがごろごろ転がってて。
しかも、見える限りなんだが、どれもこれも、相当にこう、使い込んだ感があるというか……ともかく「あっこれは絶対にヤベー場所だ」っていうのがひしひしするっていうか。
えー……これは、ちょっと、流石に想定外だな……?
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