第1211話 41枚目:次への指標
タネが分かった後の攻略はそんな感じで一気に進んだ。というか、終わった。なんというか、相性とかそういうのがはまるとこうなるんだなぁ……って感じだろうか。
ちなみに攻略完了時点で「知恵の輪スペシャル」は2つ目の輪を外せたが、こっちもこっちで危険物だったので即座にインベントリに投入。それはそれとしてうちの子と合流できるようになったので、さっそくルージュとルイルを呼んだ。
「なんだこれ」
「見るだけで頭が痛くなってくるよ」
「(゚ロ゚;)(ち、知恵の輪ってここまで難しくできるんですね……)」
「これはなかなか手ごたえがありそうですね!」
一緒に来てくれたエルルとサーニャもこんな反応だったけどな。楽しそうなのはルイルだけだったよ。流石にルール(分体)の反応は分からなかったけど。……いや、ルイルがテーブルの上に開いて置いた時、端っこに、漫画のキラキラマークみたいなのが書いてたから楽しそうでいいのか、あれ。
うちの子と一緒に挑戦すれば、今までの比ではなく順調に攻略できる。砂漠の中心にある街にそのまま留まって「知恵の輪スペシャル」を解きながらだが、“理知にして探求”の神に無事今回の異常について話を聞く事は出来たようだ。
どうやら研究及び探索、もっというなればその法則、そういう概念を司る神が“歪”めるという力の影響を受けた結果、一部法則の方が変化した、という形になったようだ。なるほど、それで原因不明の動作不良が起こってたんだな。
「姫さん何見てるの?」
「今回の事の顛末と、他の場所の情報が出てきていないかの確認ですね」
「あぁ、次の場所がどこかって話か」
「そういえば、今回は大丈夫でしたか? 主に襲撃の類が」
「あったにはあったが、外にいた召喚者がやけにやる気だったからな。ほとんど出番は無かったぞ」
襲撃自体はあったようだ。まぁするか。するな。私でもする。万が一通ったら儲けものだし、警戒度を測ると同時にこっちの緊張感を煽って神経を削る事が出来るんだから。警備を消耗させて、なんなら集中させやすくもなるか。無事に阻止されたようだけど。
で、その“理知にして探求”の神に聞いた話だが、そもそもの問題である“湧水にして脈穴”の神に無茶ぶりしていた原因は、やはりその異常、つまり「モンスターの『王』」の影響で施設が上手く動かなくなったせいだったらしい。
精霊に任せていればある程度は動かせるが、それでも砂漠全体の事を考えると無理があった為、致し方なく、という感じだったらしいが、まぁ、それでも無茶には違いない。そこは反省していたとの事。
チェーンクエスト風の割に短い気がしたが、やはりというかなんというか、話はこれで終わらないようだ。というのも“理知にして探求”の神曰く、もし自分が影響を受けたことで何らかの法則に変化が生じていた場合、もしかしたら非常にマズい事になっているかも知れない集落があるらしい。
複数あるらしいそれらは、最大でも村の集まりなんだそうだ。だが問題なのはその集落に暮らす住民の種族が特殊なものであり、その崇める神もまた特殊である、という事だった。
概念を司る神が多いとはいえ、種族に連なる神がいない訳ではない。むしろその種族としての特殊さ、あるいは希少さから、この大陸で暮らしている少数民族はそれなりにいるとの事。話に出たそのいくつかの集落もその類のようだ。
特殊な種族とその神。この時点で既に厄介事の気配がする訳だが、そこに何故“理知にして探求”の神が関わるかというと、それらの集落にはその種族と神の特殊性を鑑み、軽い封印、あるいは制御。そういう形で力を貸していたらしい。
その貸していた力にも「モンスターの『王』」の影響が出ていた場合、元々の問題が表に出るだけならまだしも、何らかの形で悪化している可能性すらある。そしてどういう風になっているかは、元々が特殊なため全く想像がつかない、との事。
それでも今回、自分に起こった変化から、歓迎できない方向なのはほぼ間違いない。だから重々気を付けて探索、並びに可能なら問題の解決をしてほしい。――という話だった。
「順当に厄介さが上がってるんですよね。これ、御使族の人達に聞いても対応する知識が出てくる可能性も低いのでは?」
「流石に御使族が分からないって事は無い筈だが……」
まぁ「モンスターの『王』」の影響が出ている時点でだいぶ考えなきゃいけなくなってたけどさ。こう来るか。
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