第1205話 41枚目:特殊報酬
そこからカバーさんに合流して確認を取ってもらうと、どうやら「知恵の輪スペシャル」と同レベルの超難易度パズルが、リアル時間12時丁度にここまでの行動で一定以上の貢献をしていた
もちろん司令部の人達の所にも届いていたのだが、流石に難易度が難易度である事と、パズル式ダンジョンの攻略もしなければならないって事で、まだこの超難易度パズルを解いたらどうなるかは分かっていないんだそうだ。
「主に知力や器用といったステータスによって補正が入る事も確認されていますし、複数人で協力する事は問題ないようです」
「いやこれを完全単独とか無理があるでしょう」
「先輩に同じくっす」
まぁでも、明らかに“理知にして探求”の神が司るものど真ん中だから、解いたら何か良い事が起こるに違いない、というのは司令部もほぼ確信しているそうだ。そうだな。流石にこれが「モンスターの『王』」サイドの影響だとは思えない。ってか、思いたくない。
実際にどうなのかを確認するには、やっぱりこの超難易度のパズルを解くしかないだろう。ただ、時間がそんなに経っていないとはいえ司令部の人達ですら解けていないというあたり、その難易度が恐ろしい事になっているのは分かり切っているのだが。
「……どうせダンジョンの攻略補助をしている間は置物なんです。生産作業の代わりに挑戦してみましょうか」
「解けなくても、最悪司令部の人達にお任せすればいいっすしね」
というかむしろ、その為のものだよなって気がちょっとする。形というか種類的に。……ステータスは毎日頑張って上げてきてるんだ。どういう形になるのかは分からないが、補正に期待するとしよう。
フライリーさんと自分に知力と器用のバフをかけて挑戦してみたところ、少なくとも知恵の輪に関して出てくるステータス補正というのは、今現在の状態から動かせる場所と方向のガイドだという事が分かった。
まぁどこがどっちに動かせるかが分かったところで、その順番までは分からないんだけどね。なのでほとんど総当たりだ。どこがどう動くのかを目視確認するよりはずっといいとはいえ、どこをどう動かしたかっていうログが残る訳じゃないからね。
とりあえず動かしてみて、動かせる場所も方向も無くなったら手順を戻り、詰んだっぽい場所から再挑戦、という事をやっていれば、まぁ当然時間がかかる訳で。
「あ、成功者が出たみたいですね」
「流石司令部の人達っすねー」
司令部からの要請に従ってログイン時間を調節している、つまり細かく出入りを繰り返していると言ったって、それなりに内部時間は経過している。それでも最初の1つすら外せる目途がつかない「知恵の輪スペシャル」に文字通り悪戦苦闘していると、空間異常内部の進捗が書き込まれる掲示板にそんな書き込みがあった。
1万ピースオーバーのミルクパズルとか正直狂気の沙汰ゲフン無理ゲーだと思うのだが、司令部は解いて見せたらしい。マジか。本当に頭の作りどうなってんの?(誉め言葉)
ともかくだ。超難易度パズルを解くことが出来たら、まさかその達成感を得ただけで終わりって事は無いだろう、というのが司令部の予測だった。で、実際はどうだったかというと。
「……フライリーさん、頑張りましょうか」
「っすね。これはちょっとマジモードで頑張るっすよ」
どうやらこの空間、もとい、この街の中でパズルを解くと、それはその場で“理知にして探求”の神に捧げられた扱いになるらしい。あの原因が不明だった施設の不調が、また一部直ったそうだから。
同時に試練をクリアしたという扱いにもなるようで、神様からご褒美が貰えたらしい。とりあえずまず1つ解くことが優先だって事で司令部の人が総出で攻略に取り掛かったので、その全員に恩恵がある形の。
具体的には。……いわゆる、秘奥義とか言われる魔法が載っている「教本」だったとの事。どの属性のものか、どの段階のスキルを持っていれば習得できるのか、そういう具体的な情報は、そこには書き込まれていなかった、の、だが。
「だってこんなもん絶対にヤベーに決まってるじゃねーっすか!? 下手したらこれ、この報酬の存在そのものが戦争の引き金になりかねないっすよね!?」
「戦争の引き金どころか、戦争を蹂躙に変える切っ掛けにすらなりえるんですよねぇ……」
その「ヤバさ」を理解するには、それだけの情報で十分だ。
今回は司令部だから大丈夫だろうが……万一うっかりゲテモノピエロの関係者に情報が漏れたりしたら、どう転んでも最悪な事にしかならないしな!
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