第1180話 41枚目:進捗と発見

 という訳で、さくさく進めて2週間後。都合3度目の時間加速を走り切った、翌日夜のログイン。


「やっぱり来ましたね……」

「まぁ司令部の人達は予想してた感じっすもんね……」


 制限時間が84時間、つまり3日を超える空間異常が発見された、という情報が召喚者プレイヤーの間を走り抜けた。発表は司令部なので間違いない。その空間異常に対する対処も早かったので、フライリーさんの言う通り、司令部からすれば予想の範疇だったのだろう。まぁ私もそんな気はしてたけど。

 だが同時に司令部は、3日を超える制限時間が設定されている空間異常、つまり相応の難易度がある場所は、そこまで数は無いだろう、という予想もしているようだ。何故かというと、その空間異常を攻略するのは土日、つまり召喚者プレイヤーの稼働率が高い通常空間で行う予定、と発表されているからね。

 3日を超える制限時間のものが主体になっていくなら、そんな悠長なことはしていないだろう。むしろ早めに取り掛かって、その難易度に慣れておくべきだ。それをしない、という事は。


「数が出ないのは予想の範疇。同時に、数を出す訳に行かない難易度になっている可能性が高い、と」

「まぁ明らかに通常空間から攻略する仕様っすしね。それってつまり、御使族の人達に助けてもらう前提っすよね?」

「そういう事でしょうね。それが現状、通常空間で攻略する最大のメリットですし」


 って事だ。まだ難易度には上があったらしい。フリアドの運営は相変わらずのようだ。そうそう変わるとも思ってないけど。

 そういう変化というか発見もあったからか、司令部は制限時間の短い空間異常は出来るだけ時間加速中に攻略するように推奨し始めたようだ。まぁ確かに、制限時間が短いという事はやる事が少ないという事。つまり難易度が低いって事だからな。

 御使族の人達に助言を貰わなくても何とかなる分を、助言を得られない時に片付けておけば、助言が必要な時に貰える可能性は上がる。それこそ3日を超える制限時間があるやつとかな。絶対助けてもらわないと無理だろ。


「その分だけ、頂くことが出来る「加護の証」も強力、つまり力の強い神である、という予想もされていますが、さて何が出てくるやら」

「あの明らかに何も無かったところに発生してる空間異常も謎っすけどね。あれ、ほんとにこっちの神様がいるんすか?」

「分かりませんが、とりあえず周りから片付けていくしかないですね。空間異常で大陸が縮んでいて、そのせいで密集している、とかいう可能性もありますし」

「あー、その可能性もあるんすねー……」


 あるんだよな、これが。実際、陽炎の柱みたいな空間異常はそんなに大きくない。それが最低ちょっとした町の大きさになるんだから、どう考えたって大陸は縮んでいるのだ。空間的に。

 もちろん、時間加速中にクリア出来た空間異常は通常空間に戻る訳で、通常空間に戻ったら当然のようにモンスターの群れが襲撃してくる訳だが、それは住民の仲間にお任せするしかないんだよな。

 それもあって住民は空間異常内部へ突入不可なのかも知れない。外で守る担当は必要だから。召喚者プレイヤーも再ログイン出来次第参戦するとはいえ、やっぱり若干のタイムラグはあるし。


「それに、竜族の人達に建材を渡しておけば、しっかりと外壁を防衛拠点として使えるレベルに強化してくれますしね。助かっています」

「もう竜族の人達は得意な事に建築って入れた方がいいんじゃないすか?」

「残念ながら、得意だと胸を張って言えるのはその逆なので……」


 竜族の本領は広範囲大火力の攻撃だからなー。むしろ、そうやってうっかり壊してしまうから直すことが多くて、結果的に得意になったって気がするんだよなー。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る