第1150話 40枚目:イベントのお知らせ

 例によっていつもの如く関係ない寄り道と見せかけた中にさらっと重要な要素を組み込んできていたフリアドだが、日曜日の夜には多くの召喚者プレイヤーによって、相当な数の「何か」が満足していたようだ。相変わらず検証班は良い仕事をするなぁ。

 一応分類はミニイベだった事と、「何か」が満足したらその場で報酬が貰えたことから、システムメールやイベントページからの報酬は無し。まぁこれはいいけど。

 という訳で11月に突入した訳だが、実はイベントのお知らせ自体は10月最後の日に届いていた。「何か」からの報酬を確認するのに思ったより時間がかかったから確認してないけど。一応期間としては2週間のようだが、せわしないな。再び月曜日スタートにするようだし。


「しかし、こう期間の短いイベントが続くと、年末に何が待っているのかちょっと恐ろしくなりますね……」

「たぶん皆思ってて口に出さないやつっすよ、先輩」

『随分と「信頼」されていますわね。まぁ、分からなくはありませんけれど』


 分からなくはないってあたり、マリーもだいぶフリアドに慣れたな。良い事か悪い事かは分からないけど。

 さて、今までと比べると随分のんびりペースのメインイベントだが、流石に年末ともなれば何か大きな動きがあってもおかしくないからな。今のところ、その方向性が全く見えないけど。


「たっぷり時間をかけて非常に広大な砂漠及び荒野を探し物、とかじゃないといいんですが」

『それは非常にやる気が削がれますわね……』

「勘弁してほしいっすねー」


 まぁそれはともかく、イベントの確認だ。(何割かはエルルの活躍で)次の大陸への突入口は開けたから、大陸の探索になるとは思うんだが……いや、その前に拠点の構築か? その候補地探し、だとやっぱり探索だろうし。

 とか思いながらイベントのお知らせに目を通す。舞台は次の大陸、これはまぁ妥当だな。北側の大陸も無事に足掛かりとなる場所を開く事が出来たみたいだし。

 しかし拠点づくりぐらいはイベントにならなくてもやるだろうし、探索も同様だ。どうせやらなきゃいけない事に報酬がついてくるなら、それはそれで大歓迎なのだが……。


「……こう来ます?」

「こう来るっすかー……」

『やはりここの運営は、奇をてらわないと死んでしまう病に集団感染しておりますわね』


 えーっとだな。分類としては探索、になるんだろう。これは。それは予想通りだからいいんだが、探す範囲というか、探す対象が、うん。

 何というかざっくり読んだ時点であれなのだが、とりあえず、バックストーリーを確認しておこう。



 近い距離にある2つの大陸。すっかりと異界の理の影響に覆われている事が想像に難くないそこへ、召喚者達が沿岸に備えられていた妨害を跳ねのけて無事に上陸を果たした事を、まず神々は喜んだ。

 次いで、その妨害に多くのその大陸の民、特に御使族が利用されている事に、揃って頭を抱える事になった。異界の理による影響を受けて様子を確認できなかったとはいえ、神々の代弁者とも言える存在にまで影響が出ているとは思わなかった為だ。

 しかし、そうやって利用しているという事は、異界からの侵略者も御使族に対して多くの力を割いているという事でもある。神々は集まりを開き、相談し、今後の方針を話し合って、その結論を召喚者に託宣という形で下すのだった―――—。



 って事で。

 ……御使族の居るだろう場所から遠いところから順番に探索して、町や村の跡地と神殿を探して確認してこい、との事だ。あれだな。北国の大陸でもやった、痕跡探しとマップ埋めだな。

 当たり前だが短期間で出来る話ではないし、イベント補正も特になし、となれば、まぁ拠点づくりを兼ねたスタートダッシュなのだろう。問題は2つの大陸を同時に探索しろと言われている事だし、絶対に途中で「何か」が見つかるって事なんだが。


『あら、そこは確定ですの?』

「見つからない訳がないんですよね、今までのパターン的に」

「そっすね。つーか御使族の人達のとこに辿り着くの、来年の8月じゃないっすか?」

「イベント報酬次第ですね。耐性を上げるアクセサリや装備がメイン報酬だと後がかなり過酷です」

「つっても、特殊効果がついてたり、特殊アイテムだったりしても厄介っすよ。それはそれでギミックまみれ確定っすし」

『……慣らされておりますわね。分からなくはありませんけれど』


 分からなくはないってあたり、マリーもだいぶ以下略。

 ともあれ、長距離移動と調査の準備だな。不死族の人達に協力してもらってプレイヤー特典大神の加護が強化されたとはいえ、相手の力が強いところに突入したりしたら通信途絶状態になるだろうし。

 そもそも地形が今までにない感じだから、ちょっと最適解を出すのに時間がかかるかも知れないしな。手探りなのはいつもの事だけど。

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