第1149話 39枚目:ミニイベ成果
たくさんの「何か」に大量のお菓子を用意して渡す、という行動をすれば、カバーさん達検証班にとっても情報的な意味でとても美味しい、という側面もある。それで分かったのは、捧げものをしてもらったお菓子より、手作りしたお菓子の方が必要個数が少なくて済んでるらしいって事だ。
まぁ「第一候補」から聞いたあの「何か」の正体は、神の使いである。それからすれば、他の神様から貰ったものを横流しするより、人の手で作って用意したものの方が受けが良いのは当たり前の話だろう。
それでいくと、捧げものの方は救済措置なんだろうな。別に【料理】系統のスキルが無くても簡単な料理ぐらいは作れるのだが、スキルが増えるのを嫌がる
「まぁ料理が出来て困る事は無いと思うんですけどね」
「もしかしてこれ、季節イベントに見せかけた【料理】スキル取得促進イベだったっすかね?」
「もしかしたらそういう意味もあるかも知れません」
実際私も経験値が美味しかったしな。うっかり使ってみたら普通にお菓子が出来たもんだから、特殊調理スキルもレベルが上げられたし。そう、魔力とか結晶とかから料理を作れる奴。
……なんか私がそういう事をやっていたら、それを手伝ってくれた、元々【料理】系統スキルを派生まで網羅してたソフィーナさんにも生えたらしいんだよな。【特殊調理(○○)】っていうスキル。
で、試してみたら、ルディルが【特殊調理(毒物)】、ソフィーネさんが【特殊調理(霊力)】、フライリーさんが【特殊調理(魔力)】を習得できたらしい。それぞれの得意分野かな。それとも制御関係か。
「……いざというときに食べられるものが多いのは良い事です」
「それはそうなんすけど、先輩はどうやって取得したんすか?」
「なんかよく分からないけど入ってたんですよ……」
「先輩そういうの多いっすね?」
ぐうの音も出ない。だが実際人の街観光ツアーで大神殿に行った、あのスキル大量取得の時に何故か入ってたんだからしょうがないじゃないか。
なお地味に謎だった霊力だが、あれは魔力(MP)と体力(スタミナ)を同時に消費する形のようだ。そのスタミナを混ぜると魔力が霊力になるのかな? その辺はカバーさん経由で検証班に伝えて丸投げするけど。
さて大量の「何か」にお菓子をあげたという事は、大量の報酬も手に入って大量のお菓子を消費したって事だ。報酬の確認も大事だが、検証班が割り出した「何か」の集団は、内部時間6時間で世界を1周するらしい。つまり。
「さて、再びお菓子の作成です。もう一度は直接相手が出来ますし、その後も皆に任せるにしろお菓子があって困るものではありませんから」
「そうっすねー。結局何だかんだ言いながら全部まんべんなく消費してるっすし」
今が日曜日の午後で2回目のログインだから、頑張ればあと3回か4回ぐらいはこうやって大量にお菓子をあげられる筈なんだよな。在庫を作っておけば、エルル達に「おもてなし」をお願いする事も出来る。
なんか微妙に引っかかるところが無いとは言えないが、こちらに属する神様の力が戻るのはいい事だ。その分だけもしかしたら次の大陸における安全圏が増えるかもしれないし、間接的に御使族の人達を守る事にもつながるかも知れない。祈りに対する返事があるとか、実際に奇跡という形で影響がカットされるとか。
もし万が一生き残りがいてその保護をしているとかだったら、マジで死活問題になってる可能性もあるからな。その辺、考えれば考えるだけ可能性は出てくる。
「それにしても、魔力からご飯を作れるようになるとは思わなかったわ。……でもこれ、本当にお腹が膨れるのかしら」
「あんま腹にたまんない気はするっすね。気のせいかも知れないっすけど」
「非実体種族なら普通のご飯よりおいしく感じるのではないでしょうか」
「毒を加工してるのにぃ、毒の効果が出ないっていうのはつま……不思議だねぇ」
「……そのスキルは多分、毒性のある物でも安全に食べられるようにするスキルだと思いますよ、ルディルさん」
なお全員、ちゃんとお菓子作りの手は動かしている。時間は有限だからね。無駄にしちゃいけない。
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