第1141話 39枚目:ミニイベ中身
どうやらうちの子達はどこかへ出かけているらしく、島をくるっと巡ってみても誰もいなかった。置いてけぼりかな。流石にちょっと寂しいぞ。
しかし1人で島を巡ってみた結果、どうやらシーツお化けみたいな「何か」は、何も残していない訳ではなかったという事が判明した。じゃあ何で何もなかったのかというと、これもある種簡単な話だった。
「まさか、霊獣や属性精の子達が持って行ってしまっていたとは……」
お菓子を受け取って離れていく「何か」をしっかり見ていたら、お菓子を食べてバンザイした後、ぽん! という感じで消えたんだよな。で、そこには確かに、装飾少な目のギフトボックスのようなものが残されていた。
のだが。私が何か動く前に、近くにいた霊獣がそれをぱかっと開けてだな。中に入っていたらしい宝石の原石っぽいものを持ち去っていったんだ。空になった箱は出現した時と同じく、ぽん! という感じで消えるらしい。
で、その霊獣が宝石の原石っぽいものをどこに持って行ったかというと、島の地下にある宝石鉱山だった。……まぁ。うん。そうだね。確かにそこに持って行ってくれれば助かるけどさ?
「まぁその内訳はルールに聞くとして……これだけ単独行動していればニーアさん辺りが来てくれる筈なんですけど、それも無いですね?」
はて? と居住区である建物の前まで戻って考えるが、特に思い当たる節はない。最前線で何かが起こって駆り出されてるなら、もちろん私にも連絡が入ってる筈だしな。
クランメンバー専用掲示板、通常掲示板共に、主に戦力的な意味での緊急事態が起こったような書き込みはない。ついでに言うとイベント関係の書き込みは「何か」から何を貰ったかという発表会ぐらいしか引っかからない。
……「何か」が満足しなかった場合の話が1つも出てこないな。
「だとしても、検証班ならその場合も試している筈ですし……日付変更線直後からなら、内部時間だとそれなりに時間が経っている筈ですし……?」
……。
…………。
もしかして、何か情報封鎖されてるのか?
「という事は、思っている以上に厄介事なのでは?」
という事は。
あれ。これまさか、エルルもニーアさんも来ないっていうか来れないんじゃ。
で。
「あー……」
その後すぐルールに皆の行方を聞きに行ったところ、「島の中で唐突に反応が追えなくなった」事が分かった。ついでに言うとあのシーツお化け的な「何か」はどこからか湧いたという訳ではなく、雲から降って来たらしい。
……雲っていうか、あの「何か」の超巨大な集団だったんじゃ? とちょっと思わなくもないが、ともかく。霊獣達が迎撃しないしどこかへ行く様子も見られないし、と、ルールは通行を許可。それで島の中にいたのか。
の、だが。そこからぽつぽつ、皆の反応が消えていったらしい。これはダメな奴だったのでは。と思ったルールはその時点で「何か」のお代わりをシャットアウト。そこから観察したところ、敷地の外にいる「何か」はしばらく放置されると、空へ上っていなくなったようだ。
「それはまぁ仕方ないとして、こう来ますかー……どこがミニイベだ運営」
判断ミスをしたと思ってしょげているルールを慰め、一応お守り代わりにと、机の1つに大皿を置いてお菓子を盛ってから向かったのは、皆の反応が途絶えた場所だ。一番近かったのはルージュの鍛冶場だったので、とりあえずそこへ向かったんだが。
……鍛冶場の中に、明らかに転移系の魔法陣があるんだよな。絶対に見覚えの無い奴。で、その魔法陣を【鑑定☆☆】すると。
[イベントダンジョン【お菓子な空間】を発見しました
イベントダンジョン内部では特殊ルールが適用されます
イベントページが更新されました]
こうだよ。
なおイベントページを確認してみると、そこにはイベントダンジョンの仕様と特殊ルールとやらが追加で表示されていた。
読み進めてみると、どうやらイベントダンジョンの事は掲示板への書き込みを始め、他の
で。特殊ルールというのは、内部ではお菓子が残機であり防御力であり攻撃手段となるらしい。ステータスが高ければ、例えばお菓子を投げる時の命中率や射程が上がるが、どんなに勢いよく投げつけても、あるいは軽く放っても、お菓子が同じなら攻撃力は同じになるようだ。
なお残機という表現通り、内部でお菓子が尽きるとイベントダンジョンから出れなくなる。基本的には外部からの救出を待つしかないのだが、内部ではお菓子の材料が採取できて、探せば調理をする事の出来る場所もあるので、お菓子を作って脱出を目指すことも可能、とあった。
なおイベントダンジョンが出現するきっかけは、「何か」が満足しなかった場合なようだ。予想通りだが。
「……となると、一応お菓子を補充してから向かいましょうか」
もしかしてあのシーツお化けの中身、どっかの神様か? 神の悪戯が神隠しっていうのはそこそこ聞く話だけども?
しかし、こんな形で「お菓子籠」の内容量が無限の理由を知る事になるとは。確かに、容量制限があったら詰む可能性があるだろうけどさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます