第1111話 39枚目:情報不足
このままでは埒が明かない、どころか、せっかく開けた大穴が塞がれてしまう。という危機感を覚えた司令部は、砦から溢れるモンスターの群れは
場所もタイミングも完全にお任せだが、流石は職業軍人というべきか。戦線が危なかったり、恐らく相手の注意が薄れた場所とタイミングで、見事な打撃となる攻撃を叩き込んでくれた。
……魔法は効かない、もとい、とても効き辛い筈なのだが、竜族のブレスってなんか微妙に属性が違うようだ。普通にダメージが通ってるから。いや、汎用性が無い完全個人技な分だけ威力がおかしいから通ってるだけか?
「お陰で、あれだけ堅牢に見えてどこから崩せばいいか見当もつかなかった砦も、それなりにあちこちが崩れてきていますが……」
もちろん私は現在も全力で領域スキルを発動して旗を掲げているし、エルルは全力で回避してくれている。まぁ、あの槍がほぼ乱戦になってる海に叩き込まれるだけで戦力が壊滅してしまうだろうから、私を集中砲火してくれてるのはいいんだ。
問題は、少なくとも
だから何とか核を探して潰して、大きさが大きさだから核が複数あるのもまず間違いないから、一部だけでも機能停止させたい訳だ。馬鹿正直に正面から削り合っていたら、絶対にこっちが持たないんだから。
「きっちり通常手段で行ける限界点の向こうまであの砦は続いていましたし、あの槍のせいで上を通る事も出来ず、だからこうして一部に戦力を集中させて突破する事を目指している訳ですが」
『こうやってお嬢が引き付けてる間なら、数人なら通れるか?』
「向こうは相手の領域スキル相当の力で満ちているのは間違いないので、補給もなく撤退すらできない現状はただの自殺行為ですね」
私とエルルならともかく、他の人は無理だろう。そして私とエルルは、現在、集中砲火されている最中である。そういう事だ。
まぁモンスターの群れだけなら
戦力が集中しているのを見越して核は遠くに逃げている、とかいう可能性もあるが、だとしてもそこまで遠くを操作する事は出来ない筈だ。というのが、ここまでの島を調べて司令部が出した結論である。
「だから、どこかに核はある筈で、それを1つでも潰せれば戦況の天秤はこっちに傾く筈なんですけど……!」
『その核が、これだけ攻撃して戦闘して騒いで、一切それっぽい気配が無いのはおかしいんだがなっ!』
「そうなんですよね。少なくとも、核の周囲は修復が早かったりするでしょう、普通! あとは領域スキル相当の能力とぶつかって出来る境界線も、何もここまであの砦に対して綺麗に平行でなくても!」
何であの陽炎みたいなのも海岸線と同じ形をしてるんだろうな! ちょっとでもへこんでたり出っ張ってたり、とにかくなんか変化があれば核の場所も推測できるっていうのに!
ちなみにこの事はカバーさん経由で司令部に報告済みである。念の為、エルルに大陸に対して同じ距離を維持して飛んでもらいつつ、私視点のスクリーンショットを撮って送った。私視点だとあの陽炎のようなものも映るからね。
それで何の返事も来ないって事は、領域スキル相当の能力は「砦全体から均等に展開されてる」っていうのは正しいって事だろう。つまり核の場所が分からないって事だな。っち。
「この、領域スキル相当の能力のからくりが分かれば、そこから芋づる式に必要な情報が全部出てくる気もするんですが……!」
それもあって、領域スキルの出力を上げている部分がある。多少は押し込めたが、それでも何も変化はなかったけど。なんでだ。
あーもう、あの陽炎みたいなのが私視点でないと確認できないっていうのが厄介だな。変化していたとしても、私1人だけならいくらでも誤魔化しようがあるだろうし。
あれか? やっぱりなんかどこか、領域スキルの一般化、とまではいかなくても、ある程度は普及するタイミングというかフラグをスキップしたっぽいのがダメなのか? 情報が足りないんだけど、運営!
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