第1083話 37枚目:討伐後変化
とりあえずレイドボスの討伐報酬を、今日もルージュの鍛冶場に集まっていた生産組3人に預けてカバーさんに連絡を入れる。元『本の虫』組の人達で情報を共有するべきって名目で、図書館へ移動だ。
そこでルールに来てもらって、「万溶の融合液」を開示。【鑑定】の派生スキルで見ると出てくる情報が違うだろうから、しばらく観察タイム。いつの間にか【鑑定】系のスキルをルールも習得していたらしく、5人と1冊でごそごそ話し合っていた。
「貴重品なのは間違いないので、とりあえずしばらく小物で検証したいと思います」
「分かりました。お預けします」
という事で、私は図書館から出て食堂に移動し、ソフィーナさんが作り置きしてくれたご飯を食べつつクランメンバー専用掲示板でイベントダンジョンの情報を確認する。
どうやらあのシステムメールにあった状態の変化とは、全域デバフが無くなる事に加え、宝箱がぽこじゃかとあちこちに出現するようになる事だったようだ。また道幅と高さも半分か3分の1ほどになり、その分死角が増えているらしい。
で、その宝箱の中身があの、事前準備で用意したものに準じた感じの便利アイテムなようだ。例のガチゲフン「手の平宝箱」が大きな宝箱の中にいくつか入っていたり、そのものが通路の角や、スイッチで隠された小さな隙間に入っていたりもするらしい。
「それに加えて、扉の向こうにはそのまま素材が生えてきたり落ちていたりする事がある、と。こちらも地形が、だだっ広いだけではなくなっているんですね。……開放的な立体迷路というのもなんだかな、ですが」
通路の形をした板を細い柱でところどころ止めているような、そんな形になるようだ。「拉ぎ停める異界の塞王」だった方は白い材質そのまま、「蝕み毒する異界の喰王」だった方は、今度はちゃんとした植物らしい。安全対策として柵もあるとの事。
そしてそのまま落ちている素材の中には、【鑑定】しても正体不明のものが時折混ざっているらしい。これはどうやら質問数か時間制限が決まっていて、いわゆる「ウミガメのスープ」形式で正体を当てれば使えるようになるんだそうだ。
……何がどうしてそうなった? と思うが、そういう仕様なら仕方ないのだろう。それに素材であることは間違いないし、金属や植物といった大分類を当てればいいようなので、難易度は低いと言っていいだろう。たぶん。
「そして難易度が高い程希少な素材である事が多い。質問を開始するタイミングはこちらで選べる。……これはまた、検証班の人達が大活躍する案件ですね」
そういう事なので、現在イベントダンジョンはとても賑わっているんだそうだ。まぁ予想通りボーナスタイムがあったんだから、そりゃ殺到するか。
それにまぁ、次の大陸への移動は、なんだったら9月頭の1週間があるし。8月も終わりが見えてイベントのお知らせが届いてないし、メインストーリー的にも重要な大一番だったし、次のイベントは短期間の方なのは確定的に明らかだ。
……それに、このタイミングで素材の大量供給チャンスがあるって事は、また次のイベントも大変って事だろうからなぁ……。
「ここまではほとんど事なきを得てきましたが、流石にそろそろ、大陸から大陸へ移動する道中でも襲撃があるでしょうし、ね」
今までは、目に見えて生き物が行き来できない障害があった。あの大喧嘩による嵐の壁や、レイドボスだった流氷山脈という形で。何も寄せ付けないある意味物理的な壁があったから、そこにはモンスターもいなかった訳だ。
だが、次からは違う。何せ竜族が竜都から東の状況を把握していないのは、モンスターの群れがそちらから押し寄せてきていたからだ。そして竜都からステータスの暴力で見た限り、今までのような、ある意味物理的な壁は、見当たらなかった。
モンスターの群れを召喚し続けた大元の内、この大陸に居座っていた奴は倒す事が出来た。しかし、倒せたのは、これでようやく半分、なのだ。
「
とりあえずはイベントダンジョンに行って、まず「手の平宝箱」と正体不明の素材を目標に探索するか。久々にうちの子全員で動けるな。もう皆行ってるかもしれないけど。
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