第1038話 37枚目:大詰め準備

 日曜日の動きについては予定通りだ。土曜日と違うのは、迷路探索でまた一気にデバフの強度を落とせた事と、ショーナさんと小鳥コンビが作ったアクセサリがばっちり効果を発揮した事で、召喚者プレイヤーの人数がぐっと増えた事だろうか。

 まぁ実質人海戦術なので、人数が増えるのは大事な事だ。おかげで探索が捗ったらしいよ? 立体迷路はかなり苦戦してたみたいだけど、要救助者の救助も結構できたみたいだし。

 だが、迷路地帯を抜ける事は出来なかった。まぁ広いからね。リアルタイムで動く上に、奥へ進む道はすごく大回りさせられてたみたいだし。


「とはいえ。動くのなら生き物あるいはモンスターで、どこかに本体もしくは核がある筈だ、という予想は正しかったようですが」


 立体迷路に苦戦しつつ、手前の探索も進めていたみたいなんだけどね。召喚者プレイヤーの人数が一気に増えたじゃない? だから、マス目状にブロック分けされている、その全てのブロックに召喚者プレイヤーを配置する事が出来たみたいでさ。

 そしたら、一か所だけどうしても入れないブロックがあったみたいで。なんか怪しいぞ、と、最前線からベテラン召喚者プレイヤーの一部を呼び戻して、他のブロックは召喚者プレイヤーだらけにしたまま、そのブロックの周辺を探ってもらったみたいなんだよね。

 そしたら、他の場所と比べると格段に脆い壁があって、その中に、まんま割とリアルな心臓があったらしい。……1つのブロックって結構大きかったはずなんだけど、そこをほとんど占拠してたんだってさ。


「で、その心臓を撃破したら、その周辺の迷路がただの地形に戻った、と。……そのただの地形に戻った範囲から、他の迷路型モンスターの大きさも分かったようですし」


 そこからは以下省略、司令部は立体迷路を攻略しつつ、手前の迷路、もとい迷路型モンスターの撃破に動いていた。だから、だいぶ手前の迷路部分は少なくなっている筈だ。

 あぁそれと、儀式をして神の力を流し込んだ影響か、迷路に辿り着くまでの距離も随分縮まっているらしい。まぁ「遍く染める異界の僭王」の時も、空間自体が縮んでたもんな。

 で、そういう事が分かってから、召喚者プレイヤーの稼働率が落ちる月曜日になったわけだが。


「さて。それでは張り切って迷路型モンスターの心臓を吹っ飛ばしましょうか、エルル」

「だから何で最前線に出てくるんだ。忙しいんじゃなかったのか」


 やる事は一緒だ。召喚者プレイヤーを広域に展開して、迷路型モンスターの心臓を潰す。ただ召喚者プレイヤーの人数が限られるので、ある程度の数のブロックを纏めて潰す為に、私とエルルに火力役が回ってきただけだ。

 どうやら迷路を組み替える能力から、心臓も適宜動かす事が出来るみたいなんだよね。立体迷路の方はともかく、平面の迷路の方は大体の大きさが分かっている。だから動ける召喚者プレイヤーを集中させてその半分くらいに展開してもらい、残り半分を心臓ごと吹っ飛ばすって訳だな。

 あ、ちなみに、心臓の位置を確定していなくても吹っ飛ばせることは分かっている。たぶんこの直線状のブロックのどっか、というところまで確定して、「第二候補」がそのブロックを全部まとめて斬ったら、心臓もちゃんと斬れて迷路ではなくなったから。


「……ちょっとは大人しくしているかと思ったらこれだ……」

「そこまで言います?」


 まぁ確かに、火力的にはエルルだけで十分なところ、体を動かしたいと言って出てきたのは私だけどさ。作っているのはいくらあっても困らない類のアイテムだから、作った方がいいのは分かってるんだけど。

 「第二候補」が大火力を披露しておいて、私が何もせず大人しく生産作業を続けてるっていうのも、何かもやるんだよね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る