第1036話 37枚目:探索進行中

 検証班の調査により、イベントダンジョン内部のリソース削りとしては、探索して構造を変えさせる方が上だという事が判明した。まぁ、だろうな。

 しかしそれはそれとしてイベントダンジョン内部で召喚者プレイヤー特典の連絡手段が使えるのは大きいので、私は「第一候補」と共に儀式を続けることになるようだ。まぁ、それもそうか。


「形をリアルタイムで変化させる迷路相手なら、通信手段は必須ですよね」

『で、あるな』


 で。そのリアルタイムに形が変わる迷路なのだが、どうやら多くの召喚者プレイヤーからオートマップの提供を受けた司令部は、その迷路の変化にパターンがある事を突き止めたらしい。

 どうやら迷路の形が変わるのは、ある程度の距離というか、広さが単位となっているらしい。それがマス目状に並んでいる形となるようだ。とりあえず今のところ上下への広がりはないらしい。

 司令部は最前線の召喚者プレイヤーから送られてくるオートマップを参考に、そのマス目で各召喚者プレイヤーの現在位置を把握。未探索領域へと向かう為の指示を出しているようだ。


「まぁ、奥に進めば上下にも広がるんでしょうけど」

『既に立体迷路は経験しているであるからな』


 あれは実に面倒だった。今回はリアルタイムで形が変わるという大仕掛けがあるから、それ以外のギミックは無いと思うけど。罠とモンスターの量及び難易度も段違いだし。

 そもそも通常状態だったら、召喚者プレイヤー特典無しで攻略する事になってたからな。もちろんそれ以外の通信手段も研究開発はされているんだろうが、今のところ召喚者プレイヤー全員に行き渡るようなものは出来ていない。

 クラン単位なら、もしかしたら持ってるところはあるかもしれないんだけど。例えばあの共鳴石を研究してるクランとか。


「……バックストーリーや資料を読み解く限り、大神の加護を強化する方法は無い筈ですが、そっち方面でも何か方法があるとかでしょうか」

『どうであろうな……。そも、大神に関する資料自体が圧倒的に少ない故、少なくとも見つけている前提ではなかろうと思うが』

「ですよね。というか、そんな方法があったらとっくに見つけているでしょうし」

『まぁそうであるな。同様に、他の神による加護や祝福で同じような事が出来るのであれば、それもまたどこかで見つけているであろうし』

「もしくは、連絡、通信、空間関係の神でなければならない、とか。あるいは信仰値か。もしくは、特殊な神殿で特殊な試練を受ける必要がある、とか?」

『あるとすればその方向であろうが……少なくとも、ここまでの大陸に存在する神殿は全て把握済みであるからな。そのような特殊な神殿は無かったはずである。信仰値であれば既に、我か「第三候補」は達成しているであろう』


 「第一候補」がしれっと何かぶっとんだ事を言っているが、まぁ信仰特化なのでそういう事もあるだろう。たぶん。おそらく。あるんじゃないかな。あるって事にしとこう。

 でまぁ、神の力だと仮定した上で方向性があってるけどそれっぽい物や場所がないって事は、神の力って仮定が間違ってるんだろうな。まー今までも散々神々が大神の力を巻き込んじゃって大変な事になってたから、たぶん大神の加護っていうのは動かせないんだろう。

 となると、神の力以外って事になるな。とりあえずは。神の力でも方法がなくはないのかもしれないが、現実的ではない可能性が高い。


「そもそも、神の力であるのに「第一候補」にさっぱり思い当たる節がないって時点でだいぶ詰んでますけど。本当にその方向だったら、情報の出し方が下手にもほどがあると思います」

『……否定は出来ぬが、それも恐らく『自由』というものに対する匙加減の1つであろうからなぁ……』

「だとしても、程度というものがあると思うんですよ」


 もし本当に、神の力を頼る方向だったら、だけどな。

 けど、本当にそうだったら流石に公式マスコット名義で公共の場所から抗議するぞ、運営。

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