第1034話 37枚目:攻略予定

 そういう調子だったので、大物の撃破も建物(?)の攻略も、かなりの速度で進んだんだよ。いやー、捗ったよね。そりゃそうか。実質特攻アイテムがある訳だもんな。

 あまりに調子よく進んだために、デバフを弱体化する為の地形破壊が間に合わず、途中で司令部からストップがかかった。まぁイベントダンジョンの片方だけを攻略するのもなんかダメな感じがするからね。

 という事で、午前中のログイン時間の残りは再び生産作業だ。司令部によって大物と建物(?)に使うように指示があっても、あの火力は魅力だろうし。あと、普通に要救助者まで効果範囲が届かなかったり外したりする事もあるだろう。


「まぁ難易度の高い生産作業って事で、大変経験値が美味しいんですけど」


 それに2つのイベントダンジョンで使いまくる、となると、流石に足りないだろう。それに火力は火力なので、あればあるほど助かる類だし。ついでに、司令部でも探しているそうだが、作れるのが私しかいないんだよな。

 まぁ作れたところで私ほどの火力になるとは思えないが、それでも神の力っていうのは大きい筈だ。あるに越したことはないだろう。生産に私っていう特級戦力が取られてるのもあんまり良くないだろうしな。

 今はエルルがいるし、エルルは私と常にセットと考えると火力は十分あると思うが、それでも戦力はフリーでいるべきだろう。


「確か今日は「第四候補」と「第五候補」が夜しか合流できませんでしたよね。だとすると、午後のログインは「拉ぎ停める異界の塞王」の方のイベントダンジョンで攻略を進めるんでしょうか」


 攻略状況を大体合わせておいて、夜の召喚者プレイヤー稼働率が上がる時に両方一気に攻略を進めるつもりだろう。そろそろ8月も終わりが見えてきたから、ここでボスの居場所ぐらいは確定しておきたい、という感じだろうか。

 そこまで行けたら、その間の平日で準備をして、8月最後の土日で決戦に持っていけるかもしれない。というか、それが今のところベストな進行状況だな。結構ギリギリな感じがするが、それはいつもの事だし。

 運営的にもそうなったら美味しいだろうし、ここから更にギミックが追加される、とかは考えたくないんだが……まぁ、運営だからな。そういう意味でも、ここでボスを確認して、準備をしておきたい。


「要救助者の人達も、あとどれくらいいるか分かりませんからね……」


 そういう事なんだよな。全員救助しないと、最悪ボスに残機として使われてしまうから。それは絶対に避けたい。だからその為には、更なる探索が必要な訳だ。

 となると、一気に探索を進められるときに進めておかないと、情報が足りなくなる訳で。やっぱりここで加速をかけておかないとどうしようもないな。本当にスケジュールがギリギリすぎる。いつもの事だけど。

 流石にこんな特攻アイテムがこの時点で作れるとは思ってなかっただろうし、ここは想定外だと思っておきたいところだが……正直、私自身も忘れてたからな、この特殊生産スキル。


「まさか、もうちょっとこの特殊生産スキルが普及していた想定、とかではありませんよね……?」


 もしくは、神の力を行使できる準神器的な試練産魔道具あるいは特殊な装備。そもそも、もっと神に頼る想定だったような気配はそこここでしているから、微妙に嫌な予感がするんだけど。


「心から信仰する、というのは、割と難しいですからね。遊びゲームだと思っていたらなおさら」


 その辺判定がシビアだからな、フリアド。まぁ脳波を測定しているんだから、その辺本心か上辺だけかの判定ぐらいは出来るだろうし。だから住民の人達と人間関係を構築するのが大事な訳で。

 ……バックストーリーの都合(?)とはいえ、住民に頼るように持って行っておきながら、前線における住民の協力を難しくするのは、結構矛盾してると思うんだけどな。

 あれか? 召喚者わたしたちは探し損ねてるけど、もしかしたら、住民の人達の行動範囲を広げる系の試練や装備っていうのもあったりするのか?

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