第1003話 36枚目:イベント開始

 ところで、霊獣と属性精の進化元である精霊獣が発見されたとき、そのテイムを加速させた情報として、「土地の力が上がる」というものがあった。これは狩猟を含めた採取活動の成果が割増しになる、というもので、まぁ要は自然の恵みが増える訳だ。

 で、精霊獣から派生した生き物(?)が多くいる場所では、新しい精霊獣、霊獣、属性精が生まれやすくなる。つまり、豊かさが加速していくという事だ。住んでいる住人がヘマをして嫌われない限り。

 そして今回のイベントでは、畑からの収穫や採取活動の成果に、補正がかかる。それに加えて、神獣っていうのは精霊獣の限界突破個体であり、その「土地の力が上がる」効果についても上位互換みたいなんだよな。


「結果、うちの島にあって元々非常に状態の良かった畑が、神々からの補正をもらったとたんに、森と化した、と」


 何を言っているか分からない以下略。そういう訳で、外へ採取活動にいく予定を全部取りやめて、今現在せっせと収穫作業中だ。しかし、すごい事になったな。畑に植えていたのは全部草か花の類で、木になるやつは別の場所で植木鉢に入れて育ててたはずなんだけど。

 しかしこんな、見上げるような大きさになってもちゃんと元の畑で採れてたのと同じ素材が採れるんだからファンタジーだな。タンポポサイズだった筈の薬草が1mぐらいの茂みになってて、その葉っぱが全部素材になったりしてるけど。

 しかも調べてみたら、普段のものよりワンランク上の品質になってるんだ。神々からの補正、というか、各種補正の相乗効果ってすごいなぁ。


「しかし、意外と面倒なシステムでしたね。必要な事なんでしょうけど、納品は竜都の大陸に出来た「モンスターの『王』」の領域を二分する壁型砦に突如現れた巨大な机、というか祭壇でのみ受け付ける、というのも手間ですし」


 このイベントはお知らせにあった通り、タスク制だ。例えば最初に表示されていた納品対象は「HP回復効果のある植物素材」で、その効果が高い程タスクの進みが良かったらしい。

 で。実はこのタスク、全体と個人のものが別々に存在する。クランに所属していればクランのものもまた別枠で追加される。こちらはもうちょっと納品の指定が細かく、アイテムが指定されている事が多いらしい。

 タスクが完了した分の報酬が貰えるので、まぁ普通は個人のタスクを優先する。次点はクランのものだろう。報酬の豪華さは全体>クラン>個人なのだが、競争要素が盛り上がる事を考えれば、全体のタスクは後回しにされやすい。


「だからこその、全体タスクの貢献度に応じたタスク数しか出現しない、というルールなんでしょうけど」


 つまり、まず全体のタスクを進めないと、個人とクランに報酬が来るタスクはこない、という事だ。なおかつ全体及びクランのタスクによる報酬は、1度でもタスクに参加していないと受け取れない。システムとしては妥当なところではないだろうか。

 なので現在召喚者プレイヤー達は、個人とクランのタスクが無くなったら全体のタスクを進める、という形で動いているようだ。なので、比較的順調に全体のタスクも進んでいるらしい。


「しかし、何に使うんですかね、このアイテム」


 現在の全体タスクは「食用可能な骨素材」となっている。個人とクランのタスクも納品場所は同じなので、まとめて納品するのが効率的だ。全体タスクは1つだけしか表示されないが、個人とクランのタスクは複数表示されるからね。

 ただまぁ言えるのは、恐らくタスクの完了件数が増えてきたら納品の難易度は上がるだろうし、その内生産物が納品対象になるだろうって事だな。納品に必要な最低品質、という条件も付け足されるだろうし。

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