第1004話 36枚目:イベント進捗

 もちろん畑だけではなく、ちょっとした牧場や桟橋の生簀、果樹が多い森なども大変な事になっていたが、それは省略する。何重もの意味できりがない、とだけ言っておこう。

 なお「第四候補」が大爆笑しつつ羨ましがっていたので、ルイシャンに「第四候補」の島にしばらく滞在してもらった。あちらもあちらで色々作ってたはずだからね。恵みのおすそ分けだ。

 結果? 全力の平謝りが来たよ。


『私達の中では一番単純労働の手には困らない筈でしょう?』

『それでも流石にこれは無理!! 工房が畑に吞まれかけてるタスケテ!!』


 という事で、ルイシャンによる神獣ブーストが相当に大きい、という事が確定した。まぁ神獣っていう存在のレア度を考えれば妥当か。

 ちなみに神獣と言えば、以前カトリナちゃんが保護を求めてきた白鳥一家もそうなのだが、どうやらあれは「神(から遣わされた)獣」であり。ルイシャンを含む野生の方は「神(の如き力を持つ)獣」という分類になるのだそうだ。ややこしいがよくある事だな。

 さて納品以外では島から一歩も出ることがないままにイベントは進んでいく訳だが、その進捗としては順調という事になるだろう。タスクの報酬もなかなかいいし。


「というかこれ、2回ほど出てきた交換カタログに載ってたうちの、必要ポイントが小さいやつなのでは?」


 ……まぁ、便利なものが増えるに越したことはない。それにそういうのは個人タスクの報酬であり、クランタスクの報酬は所属者のステータスを上げる置物だったり、追加設備、設備の拡張アイテムだったりだし。

 掲示板を見る限り、他の召喚者プレイヤー達も順調にイベントを進めているようだ。問題があるとすれば、試練産のアイテムはダメって事で、野良ダンジョンが放置されるようになっている事だろうか。

 あれは厳密にいえば試練そのものではなく、「試練っぽい空間異常」なのだが、狙ったものを狙える訳ではなく、時間もかかるという事で、発生数に対する攻略数が格段に落ち込んでいるらしい。


「実際野良ダンジョンに潜って採取したアイテムを納品してみても、普通に受け付けられた、という情報が『アナンシの壺』から出ていますしね……」


 なお私は採取活動が忙しいので挑戦していない。本当に、いくら採ってもすぐ元通りになるんだもんな。無限採取状態か?

 皆が交代で休みながらも採取し続けてくれているが、終わりが見えないな。納品はしているが、全体タスクの方はほどほどで押さえてるし。だって流石に経験値ポーションが行き渡らなかったら怒られるだろう。

 一部はボックス様やティフォン様達に捧げているんだが、それでも採取が間に合わないんだよな。どうしたもんか。


「既に霊獣や属性精の皆も手伝ってくれている状態ですし。「第四候補」に応援を頼もうにも、あちらもあちらで忙しそうですし」


 主にルイシャンがしばらく滞在してた時の影響で。まだ収まってないの?

 エルルを隊長とした元第7番隊の人達には、スタンピート防止の為に野良ダンジョンを攻略してもらってるしなー。だから納品する素材には何も困ってないんだ。植物系も動物系もモンスター系も。


「いやまぁ、ここまでブーストされているっていう状況の方が特殊なのは分かっているんですけど」


 まぁ出来る事をやるしかないか。具体的にはステータスを全開にした高速収穫。丁寧な作業を要求されるから、制御訓練にも適してるのは確かだし。

 それに品質がすごく良い素材の大量入手チャンスっていうのは間違いない。今までも十分に質が良かったけど、これでさらにワンランク上のものが手に入れば、ランクが高すぎて扱えなかった今までのあれこれも使えるようになるかも知れないしね。

 うん。生産スキルのレベル上げをする為にも、上質な素材はいくらあっても困らないんだ。頑張って収穫しよう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る