第947話 31枚目:報酬受領
月が替わってからイベントのお知らせが届いたという事は、今月のイベント期間は2週間だと言う事だ。はっきりいってクリアさせる気のない目標だが、これもまた竜都の大陸、及びこの先の大陸における、常駐タスクなのだろう。
しかし、流石に本番がすぐそこに迫っていてイベントに力を入れられる程私の神経は太くない。カバーさんに、今月はちょっと無理です……! と伝え、ログインを控えて勉強する事にした。
あのエンドコンテンツ疑惑のある超難易度の方ならともかく、常駐の方であれば私無しでも攻略できるだろう。あの鍍金の竜の素材で作った装備をつけて、多頭の竜の素材から作ったポーション類を持って行けば、まぁまず負けは無い筈だ。
「……出番……」
……一部うちの子が暇を持て余し、悲しそうにしていたが、それはもう仕方ない。地上に出てくるモンスターの群れの掃討や、今も続いている邪神に関する封印の防衛で頑張ってほしい。
と言う事でログインを生存確認程度に控えていた訳だが、イベントが始まる直前で、アキュアマーリさんから連絡があった。もちろん例の「報酬」についてで、諸々の準備が出来た、との事だった。
これは流石に無視できないな、と、しっかり3時間ログインする準備を整えて、古代竜族の竜都へ再現ドレス姿で向かう。いやー、大神殿の神域ポータルが使えるから、移動が早い。
「いやー、凄まじい倍率でした! 私は事前に直接お話を頂いていましたけど、選考権を持つエルルリージェさんはすごい事になっていましたよ!」
「あぁやっぱり。まぁ私の最優先はエルルなので、エルルが良しといった相手だけで固めておきたいんですよね。戦力的な意味でのバランスをとるのはエルルの方が得意ですし」
むしろ私はよく分からん。
うん。まぁ大体分かったと思うのだが、私がアキュアマーリさんにお願いしたのは、人員だった。それも
実際は第7番隊から引き抜く形となる隊長であるエルルにお任せする事になるだろうが、本人の希望が最優先だったからな。……だから事前に、私から直接相談をしに行こうとしたら、何故か逃げられるし。解せぬ。
仕方ないので、サーニャとニーアさんだけに直接話を持って行ったのだが、迎えに来てくれたニーアさんの言葉からすると、無事話自体は受けて貰えたらしい。良かった良かった。
「軍属外からも希望者が殺到してましたからね! 最終的に模擬戦をして叩きのめす事になっていましたので、大変だったと思います!」
「……私の護衛を近衛隊から増やすという時も大変でしたが、それ以上ですね」
しかし、本当に大変な事になっていたらしい。これは後でなんかフォローを考えとかないとな……。と言っても装備は変えられるもんでもないから、たぶん料理関係になるんだけど。
……なお後で聞いたところ、古代竜族だけではなく、加護と祝福を得てしっかり食べた現代竜族の人達も参戦していたらしいので、私が思っているのの数倍は大変な事になっていたらしい。
「しかしエルル、髪を伸ばす事にしたんですね。あと剣が何か細くなってません?」
「武器に関してはこっちが本来メインで使ってた形だ。…………伸ばさないとまとめられないだろ」
んで、割と久々なエルルとの会話だが、どうやらエルル、髪を伸ばす事にしたらしい。まだ肩より少し下ぐらいの長さだが、フィルツェーニク君と同じく、下の方で1つにまとめている。そしてまとめるのに使っているのは、あのミサンガだ。
背負ってる剣も、盾に使えるほどの幅ではない。エルル本人の手の平を広げたぐらいの幅で、長さもちょっと短くなっただろうか。うん? じゃああの余った力を固めた分はどこにいったんだ?
何よりだな。隊長やってたからか、右肩に短いマントを追加してるんだよ。動くたびに小さくはためくから格好いいんだよなこれが。ていうか、もしかしなくても服(鎧)全体が綺麗になってない? ちゃんと手入れできたんだろうか。
「で。これが今回異動した人員のリスト。トップはお嬢だから最終決定権はお嬢にあるからな」
「エルルに全権を委任しているので何も問題はありませんが?」
「丸投げは止めろ」
「信頼です」
ぶっちゃけ得意分野とか言われても分からんしなー。どうせ指揮もエルルに丸投げするんだし、そこで頭が痛いとばかりに額を押さえられても現実は変わらないよ、エルル。一応リストは貰うけども。
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