第897話 28枚目:進化報告
相変わらず部屋の外で警戒と言うか控えてくれているらしいエルルに一声かけて、
んで、一番最初に建てたから、一番入口に近いボックス様の神殿へ移動。そう言えばナヴィティリアさんがいないなと思いつつ祭壇の前で柏手を打つ。
と。
ポン!
「ん!?」
いきなりボックス様の分体があらわれて、驚いている間に、パンパカパーン! と効果音を伴って、ぱかっと開いた。んん!?
とは言え私もステータスが上がっている。何が来るか、と受取り態勢に入ったが、予想に反して飛んで来たのは、直径10㎝ぐらいの光の玉だった。
なんだ、と思っている間に、その光の玉はすっと私自身に吸い込まれて消える。……んん???
[スキル【吸引領域】が特殊進化条件を満たしました
スキル【吸引領域】がスキル【調律領域】に変化します
信仰値の一定値達成により一部
特殊条件達成により、一部所有神器が強化されました
特殊条件達成により、一部種族特性が強化されました]
……。
…………。
んんん!!??
とりあえずその場で感謝の祈りは捧げたものの、祭壇に疑問を投げかけても答えは返ってこなかったし、周囲を見回してもナヴィティリアさんはいなかったし、時間もないしで大混乱のまま元の部屋へと戻る事になった。
で、部屋に戻ったら既に【人化】したアラーネアさんとニーアさんが待ち構えていて、カバーさんにメールやウィスパーをする暇もなく着替えさせられ、ほぼ再現ドレスの完全版なのでは? というドレスに着替えるなり半ば担いで運ばれるようにしてお城にある祭壇へと移動した。
その道中で感じた限り、かなりお城全体が慌ただしいから、パレードの準備も大詰めなのだろう。相当に気になるが、詳しい事を調べるのは後に回すしかないようだ。
「……」
そして着替えさせられながらニーアさんに教えて貰った祝詞を奏上し、祭壇に祈りを捧げる。祈りと言うか報告、いやまぁそれも祈りで良いのか。
ともかく、私が信じる主な神様はボックス様だが、ティフォン様とエキドナ様を始めとした“細き目の神々”を信仰していないという訳ではないので、普通に祈りは通った筈だ。
まぁ普通の祈りなので【王権領域】は展開していない。と言っても素材扱いとは言え神器である「竜鉄塊」は身に着けているし、種族が種族なので、補正ゼロとはいかないだろうが、
[スキル【竜体】【竜魂】【竜眼】【竜鱗】【竜牙】【竜尾】が特殊進化条件を満たしました
スキル【竜体】【竜魂】【竜眼】【竜鱗】【竜牙】【竜尾】が統合されスキル【竜身魂】に変化しました
信仰値の一定値達成により一部
特殊条件達成により、一部種族特性が強化されました
“細き目の父にして祖”及び“細き目の母にして祖”より「ジプソフィアの花冠」が贈られました]
って思ってたらこっちでもか! オーケー把握した、種族値があれだから通常でもボーナスの付いた祈りになるタイミングで祈ったら、そのボーナスがインフレしてるんだな、これ!
て、花冠? と思っていると、頭の上に何か乗せられる感覚。うん? もしかして花冠ってそのまんまアイテム的な意味で? なるほど。……ジプソフィアって確かカスミソウの学名だった筈だ。てことはボックス様の神花じゃないか。滅茶苦茶嬉しいな、これは!
ひゃっほう! と上がったテンションのままその場でお礼を述べて、祭壇のある部屋を出る。なんかこの特別な祈りは1人でやるものなんだってさ。まぁ色々ボーナスとかつく事考えたら妥当か。事と次第によってはそのまま封じ込める必要とかも……まぁ、無くは無いだろう、し?
「お帰りなさいませ、末姫様! ――あら、あらあらあらこれはこれは! 竜皇様に報告に行ってまいります!」
で、祭壇のある部屋を出るなり、ニーアさんが文字通り姿を消した。……本当に速いな。左右のどっちに行ったのかすら分からないぞ。知ってたけど。
そしてその姿が消えた所で、ようやく同じく外で待っていたエルルとサーニャも私、というか、私の頭に乗っている花冠に気付いたようだ。
「え、お嬢、始祖から冠賜ったのか?」
「えぇっ!? すごいじゃないか! 流石姫さん!」
「……前から言っているように、私、中身は異世界の人間ですからね?」
「は? その辺勉強したって言ってなかったか?」
「基礎の基礎だけで済ませて貰ったので……」
「いや基礎の基礎だが!?」
「というかその更に基礎だよ!? 教育係は……ってそうか、報告に行っちゃってるんだっけ!?」
おっとー。何か元々大事だったのが、更に大事になる感じがするぞー?
いやまぁ、始祖に当たる神から何か賜るって、それだけで大事なのは大体想像つくんだけど。……この分だと、冠の類だと更に何か特別なんだな?
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