第728話 22枚目:昼の収穫
その後カバーさん達も合流して、日暮れが迫るまではひたすら「人工空間獣の種」を回収し続けた。水路の周囲をしっかり照らしておいて良かったよね。内海に接しているだけあって、かなりの範囲があったから、
もちろん夜にこの場所へとどまるのは死亡フラグでしかないので、カバーさん達元『本の虫』組の号令で撤退だ。わいわいと楽しそうに話しながら階段を上がっている
念の為、最後にもう一度最大拡散モードでサーチライトを照射してからトンネルを抜ける。ここからは各自で飛んだり、気球に乗せて貰ったりして夜を凌ぐことになる、の、だが。
「……みのみのさんが外で動いていると聞いて、何をしてるんだろうとは思っていましたが……」
「……箱で出来た砦か?」
「すごいね。この半日で作ったとはとても思えない規模だ」
その、トンネルから出て真っ先に目に入る島の南側に、エルルの言う通り、箱を積み上げて作られた……砦と言うか、四角い塔と言うか、工事中のビルみたいな。何かそんな、割と巨大な建造物が出来ていて、思わず足を止めたよね。
いや、まぁ、確かに、夜の間に地上に仕掛けた箱には、たっぷりと“影の獣”が詰まっているのは既に分かっている事だ。だから、少しでも多くの箱を地上に仕掛けるのは、“影の獣”、ひいてはその集合体であるレイドボス「伸び拡がる模造の空間」を削るのに有効な手段なんだけど。
そっかー……そう来るかー……。
「実は僕らもお手伝いしてたメェ」
「宝石の欠片で空箱を作ったメェ」
「え。それ、大丈夫なんですか? 捕まえた時の重さ的な意味で」
「柱の近くに配置したって言ってたから、きっと大丈夫だメェ」
「重い方が安定する場所に置いたみたいだから、多分大丈夫だメェ」
双子はそういう事をしていたらしい。……まぁ、みのみのさんが大丈夫だって言ったんなら大丈夫だろう。たぶん。恐らく。
ちなみにルシル達は何をしていたかと言うと、現地竜族の人達に協力してもらって、例の球状に加工した宝石を持って超巨大な積乱雲に近付いてくれていた。そう、精霊獣達曰くの殻になる宝石だ。
もしこれが進化や、単独での安定に繋がる物であるなら、【絆】によるテイム無しでも積乱雲から出てくる可能性がある。やっぱりテイムだと枠に限りがあるからね。野生のままの状態で救出できるんなら、そっちの方が最終的により多くの精霊獣を救出できるという訳だ。
「既にうちに居る子達は、結局自分で削る宿光石が気に入ったようで、削り続けていましたからね。結果が見れていないので、ある意味ぶっつけ本番ではあったのですが」
で、結果はというと。
[アイテム:霊獣の卵
説明:霊獣と呼ばれる生き物の卵
魔力とマナを吸収する事で成長する
孵化までの残り時間 29時間17分]
[アイテム:水精の卵
説明:水精と呼ばれる存在の卵
卵と呼ばれるが実際は核と言った方が正しい
魔力とマナを吸収する事で成長する
孵化までの残り時間 331時間6分]
……どうやら精霊獣は、少なくとも進化先が大きく2つに分岐するらしい。いや、精霊獣のままっていうパターンがある事を考えると3つか。流石公式から「進化先が多岐に渡る」とアナウンスされているだけはある。
で。孵化までの時間は、○精となっている方が一律336時間、つまり内部時間で2週間。霊獣の方が、殻となった宝石の種類や大きさによって、1日から5日と幅があるようだ。
なお他の(推定検証班の)
[アイテム:???の卵
説明:何かの卵……と思わしき物体
魔力とマナを吸収する事で成長する
孵化するまでには相当な時間か、大量の魔力及びマナが必要
孵化までの残り時間 437997時間33分]
えーと、最初が438000時間とすると……50年。内部時間はリアル時間の4倍の速度で流れるとは言え、これは酷い。しかも魔力だけでは無くマナも必要なので、私でも孵化を加速させるのはちょっと無理があるな。
いや、精霊結晶というマナを結晶化させたものがあるし、私の精霊さんからの好感度を考えたら、加速しようと思えば行けるかも知れないが……まぁそれでも、結構な時間を孵化の為に費やす必要があるだろう。
うん? 何でそんな真面目に考えてるんだって?
「……確かに、孵せるとしたら私ぐらいでしょうし、その後の事も考えると、扱えるのも面倒を見れるのも私ぐらいでしょうし、何なら明らかにトンデモ存在が生まれるのが分かっていて、バランスブレイカーにならずに済む居場所と言えば私達の所ぐらいでしょうけど……」
検証班(推定)の人達に押し付……譲渡されたからだよ。
一応インベントリには入ったし、その状態でも孵化までの残り時間は進んでいるし、なんなら前回のステージを生き残って、まず間違いなく全
……マナもがっつり関係するから、「第一候補」にも相談するという名目で巻き込むか。流石に1人だと手に余る。
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