第681話 22枚目:洞窟合流
しばらく西に進んでもう1つ大岩を覆っている黒いものを剥がし、ついでにアイテム用のイベントアイテムをいくつか拾って、ステータスを全開にしてコミュケーター……さん付けしたくないけど一応さん、を振り切った。撒いたともいう。
明らかにキリがないのに付き合ってられない。取材をしたいなら誰もが納得する大義名分と状況と実績と信用と好感度を用意してから来いって言うんだ。このイベントは(現状分かってる範囲だと)特に1日目の初動が肝心なのに、呑気にそんなことしてる場合じゃないだろう。
高く飛び上がるのではなく、高速で走って谷に飛び込んだので、上手く行っていれば文字通り「姿が消えた」状態になっている筈だ。そのまましばらく周囲をうろうろしてればいいんだけど。
「まぁ、洞窟の中にもいる可能性がある訳ですが」
説明文にあった通り、「縁の組紐」を身に着けていると仲間の元へ行きつきやすくなる、つまり、パーティを組んでいたり同じクランに所属していたりする
実質的な試行回数はまだ1回だが、現状で既に1つのステージに割り振られる
と言う事はつまり、あのコミュケーター……さんの仲間も、このステージにいる可能性がそれなりに高い訳だ。
「まぁ、この場所に限っては、誰が居て何をしていようと、やるべき事は変わらないんですけど」
とりあえず、洞窟の入り口から耳を澄ませてみる。……んん? 何の音も聞こえないな? 何かが動いていたら音が反響して聞こえてくる筈なんだけど。前回の山賊リーダーさんも、「誰かが居る」っていうのは分かってたし。
しかし斜面に別の出入口が穿たれている気配は無かったし、最初から開いている出口はこの谷に面した場所だけだ。さっさとこの場所を後にした……というのは考え辛い。だって色んな意味で重要な場所だからね。
内心首を傾げながらも洞窟の中へと入っていく。うーん、暗い。魔力で稼働するランタンの類は行きわたってる筈だから、灯りが少しも無いってどういう事だ? ……まさかの、誰も洞窟が初期地点じゃ無かったとかか?
「いえ。でも今のところ判明しているパターン的に、誰か1人は洞窟スタートになってる筈なんですが」
はて。と疑問に思いながら洞窟の広場に到着する。うーん真っ暗だ。【暗視☆】で見る限り、誰も何もしていない初期状態のままだ。これは、割と本気で何もせずにさっさと洞窟を出て行ったパターンか?
「となると、あのクランの事もあって相当にステージの難易度が高くなっていますね。自分の都合を最優先する人ばかりという意味で」
『む。その声は「第三候補」であるか?』
ん?
『すまぬが、麓で手に入る特殊な道具を持っておらぬか。流石に1人ではまだどうにも出来ぬ。灯りぐらいはつけたかったのであるがな』
…………そういえば居たな。1人で放り出されると身動きも出来ない
ざっくりとここに至るまでの経緯や『フリアドジャーナル』の
その後は私がランタンを点けて宿光石の鉱脈に光を蓄積しつつ、外に繋がる(予定の)通路3本を拡張する作業となる。「第一候補」というか、カーリャさんは私が渡したかき氷機とハンマーで、かき氷を作る係だ。
魔力に関しては「第一候補」も相当な水準の筈なので、適材適所だろう。
『しかし、この場はそういう状態であるか。まぁ、動けぬわけでは無かろうが……』
「他に誰とも会わなかったのが引っ掛かっていましたが、改めて考えると、あの押しの強さから逃げる必要があったからかもしれませんね。他にも居る可能性はそれなりに高いですし」
『……無いと言えぬのが悲しいであるな。大岩の近くに来ても「第三候補」との会話を優先するとなると、他の部分でも動いてくれるかどうかは微妙と言わざるを得ぬ』
「まぁ動かないでしょう。邪魔はするかも知れませんけど」
『珍しく一切擁護をせぬであるな。さては相当に不愉快であったか』
んー、まぁ、敵とまではいかないけど出来れば助けたくないかなぁ……ってぐらいには嫌いかな。夜の対処をしくじってイベント中ずっと(幽霊になる的な意味で)寝てればいいのに。とは思うし。
……で、たぶん、そっちの方が色々スムーズに済むと思うんだよね。頭が痛い事に、こっちが積極的に見捨てたり突き落としたりする訳にはいかないんだけど。
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