第652話 22枚目:接触結果
と言う訳で、谷の上に出て来てみたはいいんだけど。
「……何で私はフルボッコにされてるんですかね。効きませんけど」
いやー、【並列詠唱】を育てておいて良かったよね。光の柱を再設置しながら、半球型の防御を維持できてるんだから。最初は投げつけられる爆弾……かな? を魔法で迎撃してたんだけど、流石に忙しいから再設置を優先して、面防御を張らせてもらった。
最初は話しかけてみたんだけど、聞く耳持たずって感じだ。無言のまま滅茶苦茶怖い顔で睨みながらひたすら爆弾? に火をつけて投げつけてくるんだよ。ちなみに私は初対面。え? 見知らぬ相手に何でこんな怒られてんの?
やっぱり『バッドエンド』の火薬担当の人だったか? とも思ったが、それも多分違うんだよな。だってその本人なら、私が相手だと分かった時点で、それこそ地形が変わるレベルの爆発物を使ってくるだろうし。
「他の人も遠巻きにするだけで近寄って来てくれませんし……。私、何かしましたっけ……」
いや、うん。何かやったか? と聞かれると、心当たりが多すぎて絞り込み切れないのは確かなんだけど。だからと言って、大体の場合は人の役に立つように行動してきた筈だし、少なくとも悪の為に悪を成すような奴以外からは恨まれるようなことはしてない筈なんだけどな。
アンチもいるだろうなーとは思ってたけど、大体の場合『可愛いは正義』の人達がシャットアウトしてくれてたんだろうなぁ。……あの人達の影響が大きい&住民には割と好意的な受け止め方をされてるって時点で、私は、少なくとも世間的には悪者では無い筈なんだけど。
しかし現実として、今こうやって全力で攻撃されている。話しかけてみても返事は無い。どうしろと?
「恨み言で良いので、せめてその行動の理由を教えて頂けませんかね」
「うっさい!!!」
この通り。けんもほろろとはこの事か。一体どうすればいいんだ。どうしようもない事だけはひしひしと感じるけど。
これは、光の柱を設置し終えたら、素直に洞窟に引っ込んでいるしか無いかなぁ……。と思ったあたりで、山を登ってくる姿が見えた。おや。
「あらあら~。熱烈なファンがいるのね~、「第三候補」~」
「どちらかというとアンチだと思うのですが……というか、同じステージだったんですね、「第五候補」」
「まぁねぇ~。組紐が早速仕事をしてくれたかしら~?」
いつもの再現衣装、ではなく、登山服の様な装備に身を包んだ「第五候補」だった。流石にいつもの色気が若干マシだ。……衣装のせいか、本人がコントロールに熟達してきたからかは分からないけど。
入れ違いになったのか、それとも別の用事をしているのか、山賊リーダーさんはその近くに居なかった。代わりに、少なくとも私は見た事の無い推定
……また新たに魅了したんだろうか。という感想はそっと脇に避けて、流石に第三者が現れたら攻撃を止めた
「まぁ、早期に合流できたのは良い事です」
「そうね~。ところで、今、どういう状況かしら~?」
「えーと……そうですね。とりあえず、一旦場所を移しましょうか」
「……それもそうね~。あんまり作戦会議には向いてない場所だもの~」
ちなみに、この会話の間もその爆弾使い
……今のうちに、身柄を確保しておくべきかなぁ……? なんて考えつつも、とりあえず山の下に開けた穴の方へと「第五候補」を案内する事にする。
「…………」
「…………」
ところで、その後ろを例の爆弾使いさんとその周りに居た人達がついてくるんだけど……これ、追い払った方が良いのかな? もちろん本人達の為に。エルルは当然ながら、雲竜族の人達だって大概、私に対する敵意や害意を見せたら、相応以上の敵意と害意が返されるぞ?
ここまでは無言だったけど、もし万が一暴言なんかしたら反応が怖いじゃすまないぞ? もちろん危険物の使用、武器やアイテムでの攻撃なんかしたら……うん。
「……すみません、「第五候補」」
「任せておいて~」
なお、本人の為である。ほぼ純粋に本人の為である。新人だとしたら、この後の活動が辛いじゃすまなくなるからな。大半が秘匿情報とは言え、この後の展開的に、竜族の好感度って大事だから。
……いやまぁ、好感度が大事じゃない住民なんていないけどね? その辺、分かってくれればいいんだけどなぁ……。
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