第590話 21枚目:生産検証
レベル上げなら新素材を使った方が良い、と言うのであれば、いっその事あの試練亜空間で採れた冠付き素材を使ってみよう、という事になった。何とか育てて増やす方も軌道に乗って来たからね。まだちょっと元々のと比べると性能が落ちるから、育て方はまだ改善できるだろうけど。
普通に食べてもジャムとかに加工しても美味しいのだが、今回はレベル上げって事でブーストポーション、一定時間ステータスを上げるポーションに使おうと思う。
なおフリアドのポーションは基本的に絶対値の物しか存在しないので、ブーストポーションもステータスに値が加算される形だ。
「そういえば、こういうのって作成者のステータスを参照するんでしたっけ?」
『【錬金】のみで作ったアイテムの場合は単体で「希釈合成」が可能ですよ』
「あ、“ナヴィ”さん的にもこれは危険物ですか」
『なお「希釈合成」による獲得経験値は元となったアイテムのランクと性能に依存します』
「つまり性能を落とせば流通に乗せられるし経験値にもなると」
出来上がった物の性能? この会話(?)を参照で。大体分かってたけど。……腕輪のお陰で、さらにステータスの暴力に加速が掛かってるからなぁ……。
その後、HP回復ポーションに冠付き素材を混ぜてみたら回復後一定時間ステータスが上昇する効果がついたりとか、逆にブーストポーションに回復する素材を混ぜてみたら
「まぁ既に誰かが発見しているでしょうし、だとしても全部性能は落とすんですけど」
「いくつかはいざという時用に確保しておくとしても、市場が大混乱になってしまいますからね」
あとはまぁ無いとは思うが、あのゲテモノピエロの手に渡ったりしたらとても腹が立つ。なので性能を確認次第錬金釜にぽいだ。しかし瓶を入れたのに箱詰めされて出てくるのは不思議だな? まぁその瓶詰めの工程自体が、【錬金】のレベルを上げると途中からなくなるんだけど。
と言う訳でさくさくとレベルを上げて、無事【錬金】は【錬金術】へと進化した。これでお札が増やせる筈だな。
折角なのでとエルルから「地形が変わるから滅多な事では使うな」と厳重注意を受けている水属性の魔法のお札を作ってみた。そしてそのまま錬金釜へ投入。さてどうなるかなー?
「……。何か思ったよりも量が出来たんですけど?」
「威力の検証はお任せください」
「あ、はい。お願いします」
何かこう、ちょっとした山みたいになったんだけど。どういう事? 元の威力が高すぎたとかかな。それともスキル、いやステータスの関係か。
一応残った分を【鑑定☆☆】してみると……元が津波を起こす魔法で、変化後が特大の水球をぶつける魔法になっていた。うん? もしかしてこれまだ威力が高いか?
物は試しとここまでメインで作っていた、アクアランスという水の槍が飛んでいく魔法のお札を作って錬金釜に入れてみる。出てきたのは、あれだ。帯付きの束ぐらいの量だった。うん、まぁ、これぐらいならね。
「で、こっちは……平和な水撒き魔法になってますね」
野営の時の洗い物や飲み水の確保とかにも使われる、桁違いな魔力を突っ込みでもしない限りは威力の無い魔法だ。これなら平和だな。……実際に平和かどうかは使ってみないと分からないけど。
カバーさんがまだ戻ってこないので、もう一度津波を起こす魔法のお札を作って錬金釜に投入。そして出て来たお札を、そのままもう一度錬金釜に入れてみた。
ぼふん、という煙が出てくることも想定していたのだが、結果は、というと。
「やっぱり威力が高かったみたいですね。量産については楽に行きそうでいいんですけど」
ごそっと束になったお札が出て来た。そしてそれを【鑑定☆☆】すると、アクアボールという普通の水球をぶつける魔法になっていた。今回欲しかったのはこれなんだよな。主にレイドボスの頭と胴体を氷に変える為だから。
とりあえず作り方は分かったんだから、これを量産する方向で行こう。とりあえず今錬金釜から出てきた分は、全部もう一回錬金釜に放り込むか。
……まぁ、本当に問題ない威力かどうかっていうのは別の話だし、それはカバーさんが戻ってこないと分からないんだけど。
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