第566話 21枚目:雪の城攻略中
雪の城の攻略が始まって4日。
今月は土日が噛む直前に終わる。やっぱり土日になると
次善の策として夜にタイミングを合わせるぐらいの調節はするとしても、やっぱり早回しが推奨な訳だ。それでなくても既に3分の2が過ぎていて、そろそろ詰めないと間に合わない。
「ん、ですけど、まさかの階段すら見つからないとは……」
「窓の位置は動いていませんから、一度上がる事が出来ればそこからショートカットが出来ると思うのですが」
「実は窓は引っ掛けで本命は地下とか言いませんよね?」
「無いとは言い切れませんが、その場合最上階に地下に向かう鍵があったりするでしょうね」
「やっぱり難易度高くありません?」
「その辺りは運営の匙加減1つですので」
除雪作業もほとんど終わってしまい、雪玉を作っている雪像達の所に行って、器用と速度関係のバフをぽいぽい投げながらの会話だ。内部の探索より、外部からの雪玉の方が効いてる感すらあるんだよな。どういうことだ。
内部の攻略模様としては、まず普通に雪像型モンスターが出て来て襲い掛かって来る。流石にもう「氷晶の核」が埋め込まれた雪像は出てこないようだ。そして案の定雪国由来の罠……足が滑ったり、床ごと動いたり、落とし穴だったり、そういうのが仕掛けられているらしい。
相変わらず内部の壁も床も天井も、多少の攻撃なら傷すらつかず、傷がついてもすぐに再生し、うっかりその耐久度を上回ると真っすぐな雪崩が発生して通路が埋まる上に、周辺に居た攻略者を巻き込んで氷漬けだ。
「その「お守り」にも雪玉が欠かせませんしね」
「状態異常自体の仕様は変わらないようで助かりました」
一応、日曜日には多数の
そして一昨日は「第四候補」が気合を入れて物量を流し込んだのだが、こちらは普通に迎撃されたようだ。どうやら一定以上の数が侵入してくると、ひときわ強い奴が出現するらしい。
「で、今は「第四候補」の物量を守る形で、
「今のところは順調に地図が埋められているようですね。文字通り」
という事で、現在、雪の城の周囲はここまでと比べると閑散としている。もちろん
そんな雪像達へぽいぽいとバフを掛けながら、一応は護衛と言う事になっているのでその周囲をぐるぐる回っているという訳だ。しっかし何回見てもでかいな、あの雪の城。
ある程度雪玉が出来たら
「しかし、すぐ再生するんですよね。結構削れてる筈なんですけど」
ルシルは相変わらず私の頭の上で転寝モードだが、うーん、と少し考える。……何と言うか、下から削っても上から補充されてるんだから、あんまり効果が無いような気がするんだよな。
やっぱり補給を断たないといけないんだろうが、その為には雪の城を攻略する必要がある(推定)。そして雪の城を攻略する為には、雪の城を削らなければならない。だが雪の城を削る為には、補給を断つ必要がある。うーん、問題がぐるっと回ってるな。
せめてもうちょっと火力を叩き込めればいいんだが、その辺は大方対策されてしまっている。さてどうしたものか。……ちょっと考え方を変えよう。今までのパターンから、雪の城内部の探索はトッププレイヤー向け、周辺の除雪は一般プレイヤー向けだ。では、特級戦力はどう動けばいい?
「……。カバーさん、ちょっと試してみても?」
「手詰まりには辛うじてなっていない状態ですからね。お願いします」
出来たばかりの雪玉を何個か手に取って、一応カバーさんに確認を取る。快諾が返って来たので、ルシルに気を付けるように声をかけてから雪玉を振りかぶり、
「狙いは雪雲そのもの、次いで雪の城に積もっている雪、最後が雪の城の上部。どれか1つでも効果があれば御の字と言う事で――えいっ!」
ステータスの暴力があるからこそ狙える場所へ、思い切り雪玉を投げつけた。
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