第344話 16枚目:確認終了
カバーさんに聞いたところ、現在『本の虫』で確認している人間種族
つまり、遅くとも今月中には人間種族初のカンストプレイヤーが出てくるだろうとの事。その最高レベルになっているのは誰かと言うのは聞かなかったが、まぁその内分かるだろう。
危険物が出てくるのは更にそこから1000レベル先なので、そちらについては心配しなくていい筈だ。……危険物についての情報は『本の虫』のまとめページにも載っていないので、皆が皆秘匿しているか、『本の虫』的にも公開するとアウトという判定だったのだろう。どう考えても妥当だけど。
「と、なると……」
種族レベルについての条件はそのカンストプレイヤーの出現待ち、として、問題はもう1つの条件(推定)の方だが……これは、どうなんだろうな? 私は種族スキルがあったらとりあえず上げれるだけ上げるけど、自分1人で上げれるスキルではない訳だし。
それに、そっちの意味でよりこの懸念に近いのは『本の虫』の人達である可能性が高い。条件が確定した訳じゃ無いから、種族レベルのカンストが必須と決まった訳じゃないし。
……んだけど、『本の虫』の人達だからなぁ。検証班だからなぁ。教えたら、絶対検証しようとするよなぁ……。
「キャラリセも躊躇わない人たちだとは分かってる分だけ、教えたら絶対やるよなぁ……」
でも伝えないでおいて後で事態がこじれるのも避けたい。それに、万一どっかで一般
となると……伝えない訳にはいかない、か。
『カバーさん。今ちょっとよろしいですか?』
『はい大丈夫です。どうされました?』
『いえその。ちょ~っと全体に広げるとマズそうな推測が立ちまして。というか、検証する事自体が割と危険かもしれない感じの情報が見つかったのですが』
『なるほど……。まずは私だけでお聞きしましょう』
『お願いします』
改めてウィスパーを繋ぐと、スレッドへの書き込みではない&私の微妙な言い方に何か察してくれたらしいカバーさん。ウィスパーは周囲には聞こえないので、内緒の連絡としては最高なんだよな。
と、言う訳で、残っていた日記部分から分かった事を伝える。流石にそのまま音読はちょっと、ねぇ? 誰かの日記って扱いに困る。これはそっとしまっておいた方がいいのか、証拠隠滅しておいた方がいいのか。
まぁ日記もとい引継ぎノートの最後のページはともかく、どうやらカバーさんは上手く懸念をくみ取ってくれたらしい。ちょっと間を置いて、こう返してくれた。
『現在【結力】のスキルレベルを上げる方法は、住民の方々との交流以外には確認されていません。また「他種族の力を借りる」という説明があるにも関わらず、それらしい効果が出ないと、あまり積極的になっている方はいないようです』
『まぁ、ですよね。ところで『本の虫』の皆さんは?』
『我々とは言いませんが、現在確認されている最高レベルは27ですね』
……んー。なるほど。ここでカバーさんが嘘を言う理由も無いし、そうであれば私の嫌な予感は肩透かしで終わるだろうか。まぁこの情報も、本来なら最低でも現代竜族と合流した後で、なんならそこから更に信頼を得てからでないと手に入らない筈だもんな。
ある意味時期が早すぎるから、フラグに必要な条件が色々足りてないんだろう。そういう意味では安全な情報か。……少なくとも、さっきの最初の大陸関係の情報よりはずっと心臓に良いな、うん。
『しかし、住民の方々との繋がりが重要であることは既に分かっています。そこに影響しかねない情報ですので、早めに手に入れる事が出来て良かったというべきでしょう。「第三候補」さん、お知らせありがとうございます』
『いえいえ。元は『本の虫』の皆さんがこのお城を根気良く調べていたから分かった事ですから』
それでは失礼しますねー。とウィスパーを切り、ログイン時間の残りを確認する。えーと……内部時間であと9時間ぐらいのようだ。休憩に思ったより時間かかったかな。
「がっつり読書も嫌いではないけど、流石にちょっと重かったな。情報的な意味で」
とりあえずエルルとサーニャには、都市運営に必要な各種重要書類の塊だったと話しておこう。何1つ間違ってない。疲れてるのは細かいデータを読み込んでいたからだって事で。こっちも間違ってないし。
流石にエルルも、私は【才幼体】な上に竜族が3人しかいないのに都市運営をさせようとはしないだろう。だからこの後は、元々予定してた護身術系の訓練に戻れる筈だ。
……流石に、まだこの部屋に隠し部屋や隠し通路が繋がっているとかは、無いと、思いたいんだけど。無いよな?
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