第323話 15枚目:攻略進捗
まぁ個の力には限界があるよね。……と、ゲームバランスという名の現実を悟りつつも悔しい現在はイベント開始から20日、ダンジョンアタック開始から10日が経過している。
どうやらこの場所(「忘却された狭間の大扉」)は一般
……まぁその道中であの「氷食らう何か」を見て唖然としている間にモンスターに襲われたり、流石の寒さに動きが鈍っている間にモンスターに襲われたり、うっかり「第五候補」の姿を見ちゃって固まってる間にモンスターに襲われたりして、若干の途中脱落者は出たようだが。
「死因が綺麗に揃っていて笑うんですが」
「全員モンスターにやられちゃったのね~」
何故って? イベントの内容を参照。エンカウント率が上がるのはあの大陸だけじゃないし、スタンピートもどきの影響を受けるのもあの大陸だけじゃない。流石に最初の大陸は範囲外だが、ここは十分雪国の範囲だ。
……あとそうしてある種普通の
例えば私が気軽にぶん殴って(魔法使い過ぎ対策)沈めたマンモスっぽい奴は、タフだし堅いしその割に動くっていう、かなり厄介なボスじゃない詐欺モンスターだったらしい。
「しかし、持ち運びできる死に戻り地点って言うのがあるんですねぇ」
「そうみたいね~。便利そうだわ~」
私の時は、あれだ。氷の精霊さんが一緒だったからね。うん。異常事態とかじゃなくて、モンスターも野生動物も関係なく、感知的な意味で守ってくれていたらしい。
さて以前渡鯨族の街が襲われた際にも活躍した死に戻り地点だが、今回はそれより更に小さいもののようだ。ちょっと大きいテントぐらいしかない。その分持ち運びにはいいって事なんだろうけど。
どうやらあの中に祭壇と言うか簡易寝台のような物があり、死に戻るとそこに戻って夢オチのように目覚める事になるらしい。大きさが小さいと一度に復活できる人数にも限界が出来るらしく、その場合は人がいなくなるまで待機する事になるのだそうだ。
「なので死に戻ったら復活場所から早く出る事、と。世知辛いというか何というか」
「まぁ、持ち運びっていう利便性と引き換えよね~」
そしてさっきから私が何をしているかというと、倉庫代として私がトレードしたモンスターから採った毛皮を使い、バスローブ風の衣装として仕立てた「第五候補」と一緒にストーンサークル(仮)のダンジョンに挑戦する準備をしている。
……うん。ゴージャスな本人にすごく似合ってるんだけどさ。魅力値による無差別テロと化してるよ。耐性を付けるのには丁度いいのかな。幸せそうだからいいのか。……いいのか?
「大神殿にも行きたかったけど~、仕方ないわね~」
「そうですね」
ツッコミどころが多すぎるが、こうなった経緯を簡単に振り返ると、だ。
定期的にやってきたり周囲に湧いたりするモンスターは、人間種族のトッププレイヤー達が来た事で駆逐され続ける事になった。つまり、アザラシ達と船(残骸)の山の安全が、ある程度確保されたっていうことだ。
で、掲示板やトッププレイヤー達にくっ付いてきた『本の虫』の人達から、割と本格的にスキルに関する話を聞いた「第五候補」は、【○○属性魔法】以外の魔法関係なら実践を通して身に着ける事が出来るという確信を得た。
そしてすぐ話しかけられる内で一番多く特殊な魔法関係スキルを習得していて、欲を言えば自分が無意識でかけてしまうレベルの魅了を完全にシャットアウト出来る人物は、というと……まぁ、私だった訳だ。
ということで、ダンジョンという実地で「第五候補」へ魔法を教える、という事になった訳だ。あと、今までは素振りしか出来なかった武器の実践訓練でもある。武器が装備できていいなぁ(本音)。
え。何の武器を装備してるんだって? ははは。こういう時のお約束は外さないのが私達魔王候補だよ。ロールも込みだからね。
「うふふ~。楽しみね~」
「……間違って当てないで下さいね?」
「それも含めて練習よ~。努力はするけど~」
メインが鞭でサブが扇。……魅了特化な自分をよくお分かりで。船(残骸)の山に居た時に自分で作った物らしいから、性能や付与効果としてはそこまでではないのが救いか?
まぁ、その内
そのステータスが平均から比べれば十分に高すぎるから、無意識で発動するぐらいの魅了でも周りの
「で、これは放置しててもいい奴ですか?」
「しばらく私から離れれば大丈夫な筈よ~」
……これは早くダンジョンに挑んで、その内部空間に隔離した方がいいな。
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