第280話 14枚目:山頂到着
戦闘と除雪、時々お勉強をしながら進むこと、約3時間。
「おや? パウダースノーの層が薄くなってきましたか?」
「そろそろ目的地っすか!?」
途中であまりに深くなったため、若干歩きにくいのは仕方ないとして高さ3mに除雪の範囲を押さえて進んでいると、パウダースノーになっていた足元が押し固められた雪のブロックに戻って来た。
どうやら
その前提でパウダースノーの層が薄くなったという事は、総合の厚さが薄くなった、つまり地面の高さが上がって来たという事になる。という事は、少なくとも平地は終わり、山を登っているという事だろう。
「まぁ景色ではさっぱり区別がつかないんですけどね。確か、高さ的に200mぐらいでしたっけ?」
「の、筈だな。一旦真下に掘り進んで地面の傾斜を確認してみるか?」
「うーん……しかし、雪のブロックは重たいんですよね……。……もう少し進んでみましょうか。それで雪の厚みが変わらなければ、私とエルルで2手に分かれて高さと角度を確認しましょう」
「魔法で除雪するのはもうちょっと後っすか?」
「ですねー。うっかり大規模に除雪して、モンスターをたくさん呼び寄せてしまっても大変ですしー」
という相談はしたが、幸いそのまま進むと段々パウダースノーの層は薄くなっていった。まっすぐ山を登る方向だったらしい。
そのまま進んで、パウダースノーの層が50㎝を切った辺りが一番薄い事が分かった。なので、恐らくここが山頂なのだろう。大体、直径50mぐらいのようだ。
全員で戦闘態勢を整えてから、ルチルとフライリーさんに山頂のパウダースノーを一掃してもらう。当然、さっきルチルが指摘したように大量のモンスター(一部肉食動物)が出てくる訳だ、が。
「事前に分かっていれば入れ食い以外の何物でもない訳で。[ウィンドランス・ガトリング]!」
「数を仕留めてもゆっくり解体していいってのは確かに楽だな!」
「おにくまつりなの! [スプラッシュ・フェンス]!」
「一体この間だけで、普段の何か月分の肉が手に入った事やら……!」
ま、苦戦する訳がない。動きが遅いが丈夫そうな奴は私が狙い、素早く突っ込んでくる相手はネレイちゃんが拒馬のような魔法で仕留める。その隙間をぬってくる奴は、エルルとオープさんの獲物だ。ちなみにオープさんはツーハンドソード使いだよ。
「うわぁ、出番無かったっす」
「最初に除雪しましたよー?」
まぁ戦力って意味だと過剰気味なのは否定できないからなぁ。エルルや私はもちろんの事、フライリーさんも確か、魔法スキルの最大レベルだともう私を越えてる筈だし。ルチルも自分を鍛えるのに手は抜いてないし、ネレイちゃんは巫女だ。オープさんも熟練の護衛だから普通に強い。
……これで【王権領域】は使ってないんだから、実はまだ余裕があるんだよね。たぶん今の倍ぐらいまでなら問題なく捌けるんじゃないだろうか。この大陸は、モンスターの強さより環境の厳しさの方が大変だから。
さて襲撃を返り討ちにして解体タイムを挟めば、今度は発掘()の時間だ。パウダースノーに水をぶっかけて氷のスコップを作り、ざくざくと平らで雪が薄い(推定)場所を掘っていく。
「あ、ほんとにすぐ地面が見えたっすねー」
「けど、ここも地面は黒いんですねー?」
「みたいですね。まぁディックさん曰く、山の神は暑さと黒さを司るそうですから、本来この大陸の地面はどこも大体黒いのでは?」
「確かに、我らにとって石とは黒い物ですな。海を渡り、そちらには白い石があると知って驚いたものです」
「しろいのにつめたくないのは、びっくりしたのー」
道中と比べればあっさりと除雪は出来て、山頂らしいそこそこ平らな黒い地面が露出した。周りも似たような高さだから実感はわかないが、ここは確かに山のてっぺんのようだ。
ただ地面も凍っているから、私達が立ち去ればすぐにでも再び白い雪に埋まってしまうだろう。今でも端っこから崩れて来た雪で埋まりつつあるし。しかし、山頂なら神社、もとい神殿の1つでもあって良さそうなんだけどな。山の神様が居る、あるいは居たならなおさら。
……ん? え、あれ? ちょっと待て。
「……まさかこの山頂、こうやって覆われているこれ、全部
「えっ、マジっすか!?」
「あ、ほんとですねー。すごい大きさですー」
凍っている、と思ったのだが、よく見たら艶があってデコボコしてるだけだこれ。【鑑定☆】してみてもちゃんと「山火石」って出たし、これ一面全部あの燃える石ってことか!
まぁその山火石自体がよく分かってないんだけど、ディックさん曰くこれは「山の神様がくれた物」だ。山頂でこれだけ大きな山火石があるのは、なんか意味がありそうな気がするな?
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