第184話 11枚目:卜占の神曰く
さて無事に“角掲げる鉄火にして卜占”の神ことオンラ様の封印解放は成功し、「第一候補」は伝えるべきことを伝え終えた。私としてはこのまま1協力者としてフェードアウトの可能性も考えていた訳だが、違ったらしい。
「第一候補」がニンフさんに抱えられて下がった後で、私……というか、エルルが呼ばれたのだ。まぁ、解放中に何かすごく気になって仕方ない事言ってたしね。
ただまぁ、何でも種族的なアレに深く関わるとかで人払いがされて、実質エルルとオンラ様の直接対面だ。私? 横で置物になってるよ。
〈……うむ。やはり、か。名を聞いた時より、引っ掛かってはいたのだが〉
じ、とまたしばらくエルルに視線を向けていたオンラ様は、独り言のような調子で言葉を零した。小さく頷く。エルルは……あーうん、ガッチガチに固まっちゃってるよ。一応声は聞いてるみたいだけど。
……まぁ、「黒に生まれし白き竜」って、封印解放途中でも言ってたしね。名前とかから、トラウマど真ん中なんだろうなって言うのは少し考えれば分かる事だ。
問題は、その辺の前提となる情報がほぼ手元にないって事かな……!
〈黒き夜の竜。その血族には、稀に、白き竜が生まれ出でる〉
「……十数世代に一度、居るかどうか。と、聞いています」
〈むぅ。……まぁ、それぐらいで、あろう〉
えーと、竜族は確かティフォン様によれば「万年生きる事が普通」だから、つまり下手すれば何十万年に1人ってことか。うーん、長命種の時間感覚はスケールが違う。
しかし名前は夜明けだった筈だけど、夜なんだ? ……夜明けを「迎える」的な意味かな? てことはもしかしてこれ、昼の竜で「日暮れ」の白い竜が居るんじゃないの? あっ、エルルの過去の闇っぷりがさらに深まった気がする。
〈我が、権能は……鉄を取り出し、鍛える事。そして、それに用いる火。……及び、その火を用いて行う、易である〉
易、つまり占いの事だ。うん。名前と(推定)元ネタから知ってた。
〈故に……易に応え、問いに答える力を、持つ。……道に迷った時、その火を標として、導く力を、持つ〉
なるほどそういう解釈なのか。と納得しつつ、神妙にその言葉を受ける。占いを権能として持つ神という事は、「占いという問いに答える神」という事になるらしい。
いやまぁそうか。神が占いをする側なら、じゃあそれに答えてるのは誰だってことになるしな。あるいは本神の勘って言う可能性もあるけど。普通は神官が占いをして、それに神が答えるって形になるだろう。
だからこれは、「占い」を権能に持つ神が直々に下す「託宣」だ。
〈――黒き夜に生まれし、白き竜よ〉
「はい」
〈4年に一度、最も日の長い夕刻に、北と東の端境へ向かうが良い。――
「!!」
伏してその「託宣」を受けたエルルが、その下で目を見開いたのが分かった。うん、いまいち理由は情報不足で分からないが、その「夜」っていうのがエルル……というか、シュヴァルツ家には超重要なんだな?
その「夜」そのものというか現象と言うか、それは大体今の「託宣」で分かったので理由は後でエルルに聞くとして……うん。明らかに何かイベントフラグが建ったな。
……それも恐らく、相当にイレギュラーなタイミングで。
〈……うむ。……召喚者は、察したか?〉
『異世界の心当たりが、この世界でも通用するのであれば』
〈そうか。……ならば、探し、向かうが良い。
そしてティフォン様に言われた選択肢とその結果も大体察されてるぅ。まぁそれぐらいは出来るか。占いが権能にある神様だもんね。はい。太陽にはなりません。月一択だ。
しかしまぁあれだ。…………主にあの谷底に封じられた竜都関係のイベントフラグがえっらい事になってる気がするね! 運営、ごめん!!
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