第60話 7枚目:スキル確認

 さて。職人な妖精さん達が偶然を味方に付けて奇跡的に(という建前で)作成できた超ハイスペックな剣は、エルル曰く「練習用の木剣ぐらい」との事だった。評価がようやく武器になって、3人のフェアリーズはハイタッチしていたよ。

 え、その間私は何してたかって? エルルに問い詰められてた。もとい、なんか他にヤバそうなスキルが無いか聞きだされてた。……まぁ私としてもこれ以上地雷が……あるのは仕方ないとしても、踏んでしまうのは避けたかったからいいんだけど。

 結論から言うと、【空間○○魔法】が希少過ぎてアウト。【吸収領域】は謎の仕様変更がされてるっぽいのでこれも基本オフ。【悪食】と【大食】の組み合わせはこれからの進化先に要注意、との事だった。


「キュー?(進化先に要注意?)」

「統合されたりすると、暴走の危険があるヤベースキルになるんだよ。確か……【暴食】だったか。何でも見境なく食いまくって強化されまくって、で食欲にストップがかからなくなる」

「キュゥ(それはヤバい)」


 なので精神修業が大事との事。そんな訳で、ドラゴン流精神鍛錬のお時間です。スキルとしては【平穏の精神】が入り【弱腰】が【気弱】に変わった。後は、【魔力制御】と【緻密動作】の経験値が美味しい。

 あと若干【影響力増加】と【環境耐性】にも経験値が入っているようだ。……心頭滅却すれば火もまた涼しかな。エルル曰く「周囲の魔力を制御してダメージを減らしてる」との事らしいが。


「キュキュー(周囲の魔力を制御に置くとかボス感あっていいね)」

「だから、ただでさえ硬い竜族の鱗が更に堅牢になる訳だ。……まぁお嬢の場合、本気になったら一定範囲に踏み入ったら実質死ぬからもっとえぐいけどな……」

「キュッ(それは言っちゃいけない)」


 なお【吸収領域】は詳細設定が出来たので、基本的に所有者が居るアイテムと、意思がある存在は吸収しないように設定しておいた。それでも基本はオフだけど。ぶっ壊れスキルかな。

 が。このスキルを知っていたらしいエルルも「こんな凶悪なスキルだったか……?」と首を傾げているので、やっぱり何か謎の仕様変更か、何かのスキルが影響していると見た方がよさそうだ。

 さて私のこともいろいろと分かった所で、武器も出来たしとエルルと一緒に、スタンピートが起こったらしい場所へと行ってみる事にした。お留守番? しないよ。エルルの懐が一番安全です。


「キュ、キュー?(そういえば蛇祭りだったけど、この辺ってあんなに蛇だらけなの?)」

「蛇祭り……いやまぁ確かにそうとも言えるけど……。んー、俺の知ってる範囲だと、あんな数は少なくともいなかったはずだ。てか、いたら妖精族がもうちょい離れたとこに移動するか、多少なりと対策がある筈だな」

「キュ(なるほど確かに)」


 となると、蛇祭りの集団はやっぱり何らかの原因で降って湧いた、という事になるだろう。まぁ、異常事態だからその原因を探りに行く訳だし。

 あれだけの蛇系モンスターが通ったにしては大して痕跡が残っていない、最初に降り立った場所に比べれば木々がまばらな森をエルルが進んでいく。その道中も実に静かな物だ。動くものが1つもない。


「キュ……(逆に不気味なんだけど)」

「スタンピートが起こったら、大体の場合はこうなる」


 あまりの静かさにそんな事を呟くが、エルルは平然としたものだ。流石出来るイケメンエリート士官軍ドラゴン。実に頼りになる。

 しかし【人化】状態で警戒しながらとはいえ、エルルは結構足が速い。なので、2時間も歩けば結構な距離を移動している筈だ。……が、なかなかその原因らしいものが見つからない。

 なお「たからばこ」は割と頻繁に見かける。……そっちにかかってるから余計時間かかってるんじゃないかって? あー、うー、まぁ、うん。でも残しておく訳にもいかないしさ。


「しかしスタンピートもお構いなしか、これ」

「キュー(だってもとが空間の歪みとかいう謎存在だし)」


 ぷちぷちを潰す感覚で「たからばこ」を開け、「たからばこモンスター」を倒していく。……んー、大体分かってたけど、プレイヤー絡みじゃなさそうかな。ちょっとほっとしたというか。魔物プレイヤー同士で争うのは良くないよね。

 ログイン時間は内部であと4時間ぐらい。さーて、この間に見つかるといいんだけど。

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