魔法学園都市 レテスフィア

帳要/mazicero

魔法学園都市 レテスフィア

 気持ちのいい青空。

 澄んだ空気。

 これだけなら、今日はものすごく気持ちのいい日だ。

 そう、これだけなら。

「うぅぅ〜」

 今日はただでさえ人に会って会話しなければならないのに、なんで苦手な船に乗らなければならないのだろう。

 そんなことを思っていると、船内放送のスイッチが入った。

「ご乗船の皆様。本日は、レテスフィア連絡船をご利用いただきましてありがとうございます」

 もしかして、これはもしかすると……

「本船はあと十分ほどでレテスフィアに到着いたします。ご乗船の皆様は、下船の準備をなさってお待ち下さい」

 よし。もうすぐ降りれるぞー。

 そう思うと、自然と体が軽くなった。吐き気もだいぶ引いた。

 自分の体調を確認して、朝日奈晴人あさひなはるとは荷物を出入り口付近に移動させた。



 魔法学園都市 レテスフィア

 そこは、魔法について学ぶ学園、レテスフィアが作られた島のこと。

 今から百年ほど前。

 世界は第三次世界大戦に突入した。その戦争の最中、国家のほとんどが破綻し、併合、独立を繰り返していた。

 戦争の最中に多くの人々が命を落とし、人口は減少の一途を辿った。

 そんな中、突如として新人類が生まれてきた。新人類は普通の人類とは違って、魔法を使うことができた。そんな新人類たちの活躍もあってか、第三次世界大戦は終息し、世界に平和が訪れた。

 そして、世界は一つの大きな国家として一つにまとまった。戦争の最中に、祖国を追われた人々が多く、また、第三次世界大戦以前から日本語が共通言語として話されていたのもあり、ほとんど混乱もなく一つにまとまった。

 そうして今では、順調にどの地域も復興し始め、終戦直前には大戦前の五分の一まで減った人口も、大戦前の三分の二にまで戻った。

 さて、新人類は魔法を使えるとは言ったものの、人によって得手不得手というものはある。だけれど、魔法も使えない人類からしたら、新人類は少しの魔法が使えるだけでも脅威となりうる。

 その問題を解決すべく、作られたのがここ、魔法学園都市 レテスフィア。そして、朝日奈晴人は今日からレテスフィアの高校一年生として編入することになった。

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