魔法訓練してみた
「冒険者ギルドで俺TUEEEEEEEEEEしましょう。そうしましょう」
今更裁縫師を目指すのもなんだかなぁっという感じなので冒険者ギルドです。
とその前に、魔法スキルをブドウの種に合成し、地面に植えてハイ肥料ポーションを霧吹き。
「やっぱり出来た」
各属性の魔法スキルを持ったブドウが実りました。
植物魔法や空気魔法、重力魔法なんて変わり種もあります。
その全てを調合、合成し、万物魔法というスキルになったので自身に合成。
「魔法スキルがスッキリしました」
風光炎蘇生万病治癒転移魔法なんて長過ぎますしね。
万物魔法スキルとはありとあらゆる魔法を扱うことが出来る魔法スキルです。
とは言ってもレベル1なので各属性の攻撃魔法や防御魔法、回復魔法に補助魔法、状態異常魔法に生活魔法などなどの初級と呼ばれる魔法しか使えません。
全ての初級魔法が使える時点で異常ですけどね。
試しに岩に向けてファイアボール。手の平からプスッと煙が出ました。
〈ファイアボールは初級魔法ではない。中級魔法だ〉
という脳内メッセージが表示されたような気がします。
「ファイア」
改めて初級魔法のファイアを唱えると、ボウッと丸っこい火が飛び出して岩にぶつかり、岩が砕け散りました。
「威力強過ぎない?」
全能力アップスキルのおかげで魔法の威力も上がっているようですね。
「火は危ないですね。ウォーター」
高圧洗浄機の様なすごい勢いの水が飛び出し地面を抉りました。
人に向けて撃ったらどうなってしまうのか想像するまでもありません。
「うーん、掃除には使えそうかな?」
同僚のお尻に高圧洗浄機やエアコンプレッサーを突っ込んで内臓を破裂させる事件をふと思い出しました。
前世で見たおバカニュースでしたけど、こっちの世界でもお尻に向けて魔法を放つおバカさんが居そうで怖いですね。
もちろん私はしませんよ。ええ、しませんとも。
とりあえず冒険者ギルドで仕事をする前に魔法の訓練をしましょう。そうしましょう。
「ライト」
うぉっ!? まぶしっ!?
ハゲ頭の人がよく使う太陽光目潰し攻撃を彷彿とさせます。
この威力だと目を瞑っても眩しいので自分も目潰しされてしまうのが難点ですね。
「ダーク」
うわぁ、ブラックホールみたいな真っ暗な穴が空中に開きましたよ。
元々のダークは対象の視界を奪う魔法のはずですけどこれはもはや別の魔法になっちゃってますね。
これも目潰しに使えそうです。
目潰しというか頭ごと闇の彼方へ消え失せそうですけど。
「サンダー」
唱えた瞬間、閃光が走って地面を抉り、一拍置いてからえげつない爆音が鳴り響きました。
「ひえぇ……」
視界が真っ白になり鼓膜が破れて両耳から血が垂れて来たのでハイポーションを飲んで治します。
ついでに血で汚れた体を浄化魔法で綺麗にしようとしたところ、肌が磁器のようにつやつやに輝き、髪の毛がシルクの様にさらさらになりました。
貴族令嬢でもここまで美しい者はそう居ないと思います。
トップアイドルへの道を更に進めましたね。
……体から全能力アップスキルを調合で取り除きました。
レベル1でも扱いきれないものはダメですね。
一歩間違えていたら死ぬところでしたよ。我ながらアホですね。
全能力アップスキルを取り除いたので試しにファイアを発動してみると普通の威力の火球が出て雑草を燃やしました。
「こういうので良いのよ、こういうので」
過ぎたるは何とやらです。
もちろん緊急時には必要な力なので全能力アップスキルの指輪を作成して、ストレージに仕舞ってあります。
「そもそも魔法だけで戦う必要はないのよね」
調合スキルで相手の体から酸素だけ取り除くとか、合成で木や地面に体をくっ付けるとか、錬金で相手の血管内に針を無数に作り出すとか、色々な方法が思い付きます。
「想像したらかなり惨いわ……」
スキルレベル1の時には思い付かなかった悪虐非道な使い道。
やるか、やらないかは私次第。
「でも酸素抜いちゃうのは死体も綺麗に残って良いかも」
やられる方はたまったものではないが、ロトルルは楽に死ねるならその方が良いよねっと本気で思っているのであった。
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