合成スキルはヤバかった

 転移で自宅に戻り、ストレージから生活用品をキッチンや風呂場に置いて、ベッドに寝転がりました。


 衣食住、全てを満たす事が出来たので次は何をしようかと考えます。


「冒険はちょっとしてみたいかな? 女の子とイチャラブしてみたいし。美味しい物もたくさん食べたい。世界一周旅行……は面倒くさい。このまま引きこもり生活でもいいか……」


 ベッドでゴロゴロしながら一生を終えるのも悪くはない、か。

 でも、私をデブにするのはすごく嫌だな。

 今はガリガリでも食っちゃ寝してたら絶対にデブになる。運動はしないと。


 前世で見てきた異世界物語の主人公達は、それぞれが大きな目標を目指して冒険していましたが、私が転生したこの世界には魔王も居なければ邪神も居ません。

 悪の親玉も、親の仇も、そもそも親すら居ませんし。

 復讐する相手(孤児院のいじめっ子達)は居る事には居ますがこちらから会いに行ったりはしません。

 街で偶然見かけたらぶっ飛ばす程度です。殺したい程憎んではいません。

 ドラゴンは居るみたいですが、動物園で飼育されているのを見てみたい程度なので危険を冒してまでは見に行ったりしませんよ。


 目標探し、将来の夢探し、自分探し、自分が本当にしたい事って何でしょう?


 富、名声、力、この世の全てを手に入れたい?

 いいえ。それほど多くは望みません。


 幸せになりたい?

 なりたいです。


 幸せって何?

 暖かい食事、暖かいお風呂、暖かい寝床。


 ……やはり引きこもるのが一番幸せな気がして来ましたね。

 しばらく引きこもってみようと思います。



「雑草と雑草を合成……いい感じの雑草になりましたか」


 引きこもって何をするか、それはもちろんスキルの研究です。

 合成スキルだけでも100年は遊べそうですからね。


「いい感じの雑草といい感じの雑草を合成……すごく良い雑草。ふむふむ」


 どうせならと、鑑定スキルをレベル1から鍛え上げる事にしました。

 時間はいくらでもあります。気長にレベル上げを頑張ろうと思います。


「すごく良い雑草とすごく良い雑草を合成……かなり良い雑草。ほほう」


 試しに鑑定サングラスで見てみると、かなり良い雑草は健康になる薬草だったみたいです。


「かなり良い雑草とかなり良い雑草を合成……大変良い雑草。大変良い雑草と大変良い雑草を合成……非常に良い雑草。非常に良い雑草と非常に良い雑草を合成……極めて良い雑草。極めて良い雑草と極めて良い雑草を合成……至高の雑草。至高の雑草と至高の雑草を合成……至高の雑草。ん?」


 至高の雑草を鑑定サングラスで見ると世界樹の葉と表示されました。


「世界樹の葉……死者蘇生に万病治癒ですか、ヤバイですね……」


 世界樹の葉を錬金スキルで液化し、自身に合成。

 蘇生スキルと万病治癒スキルが手に入りました。やっべー。


 蘇生スキルは自分以外の白骨化していない者に使用する事が出来て、万病治癒スキルは自分にも使えてあらゆる病気を治せる様です。

 もちろんレベル1からです。

 完成されたスキル使用の代償が恐ろしいですからね。

 レベル1だと死んで直ぐとか、発病して3日目までという制約があるみたいですがノーリスクで使えるので問題ありません。


「合成スキルヤバイ! もっとやろっと」


 合成スキルレベルをもっと上げれば世界樹の葉以上の物も生み出せるかもしれません。

 そんな物を生み出しても使い道はありませんけど、知的好奇心は満たせます。


「次は石と石を合成……固い石。固い石を合成、固すぎる石。固すぎる石を合成。鉄の石。鉄の石を合成。鋼鉄の石。鋼鉄の石を合成。砕けない石。砕けない石を合成。破壊出来ない石。破壊出来ない石を合成。究極硬度の石。究極硬度の石を合成。究極硬度の石。ふむ」


 鑑定サングラスで調べるとアダマンタイトと表示されました。

 これで剣とか防具を作っても良いですけど、モンスターと戦う予定は無いので錬金スキルで万能包丁に加工しました。これで料理が捗ります。


「家に居ながら伝説級のアイテムが入手出来てしまう……私は、私が恐ろしい……!」


 とは言っても暇なので作り続けますが。


「今度は悪い方向へ合成して行きますか」


 調合スキルで体に悪そうな成分だけを残した雑草を先程と同じ様に合成していき、体に悪そうな雑草、体に悪い雑草、体に毒な雑草、有毒雑草、猛毒雑草、死に至る雑草、即死雑草、死神雑草と素手で触れるのも遠慮したい危険物を生み出してしまいました。


 鑑定サングラスで調べるとデスと表示されました。まさに死神デスね。

 食べるとあらゆる生き物が即死するみたいです。怖い。

 うっかり食べてしまうと危険なので錬金スキルで作った指輪に合成させました。

 死の指輪。装備すると死ぬ。うーん、ダメだこりゃ。


「装備すると死ぬ……死ぬ? そうか! 死者蘇生!」


 世界樹の葉を作り、死者蘇生の効果を指輪に合成してみました。


「生と死の指輪。効果が鑑定出来ない……」


 鑑定レベル20のサングラスでは鑑定出来なかったので、マスターした鑑定スキルをただ捨てるのは勿体無いと、指輪に合成して保管してあったので、装備して再度鑑定。


「効果は……生と死の重ね合わせ。装備した者は世界から観測されなくなる」


 意味は分かりませんが、たぶんどこぞの猫の状態になってしまうのではないでしょうか?

 ちょっと装備してみましょう。



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