第7章 第17話

翌日。

問診は午後からの開始だったが、結局同じ宿の部屋で夜を明かしたErsterSpielerと

朝早くからログインしたSeregranceとの3人で集まる。


「話があるって、どうしたの?こんな早くから。」

苦笑いの顔で、無言のままErsterSpielerを見る。

「ごめんね。あたしがセレさんにお願いがあって呼んでもらったんだ。」

「エアスタさんが私に?」

「うん。セレさん…いやSeregranceさん。お願いがあります。」


Seregranceをじっと見つめるErsterSpieler。

一呼吸置いて、勢いよく言い放つ。

「フィーアトさんと結婚させてください!」


エアスタ砲を放れたSeregranceはしばらく固まっている。

「…ごめんなさい。よく理解できなかったわ。もう1回言ってみて?」

「フィーアトさんとダンス内で結婚させてほしい!」

「うーん…やっぱりよく理解できないわ…スピから言わされてる?」

『あるわけ無いだろ!』

「じゃぁドッキリ?」

『残念ながらドッキリでもない。』

「図々しいのは分かってる。セレさんがスピさんの大事なパートナーだって事は分かった上でのお願いなんだ!」

『そういうことらしい。』

「うーん…エアスタさん、ちょっと話しませんか。」

ErsterSpielerを手招きするSeregrance。


「スピ、あなたパーティー抜けて適当にぶらついてて。」

自分がリーダーだったパーティーなのに追い出されてしまった。

だが、正直俺もどうしたら良いのか分からないし、ここは2人に任せるのが懸命だろう。



言われた通り街中をぶらつくこと2時間。

最新エリアともなると俺の事を知っている人も多く、

頻繁に声を掛けられながら、ぶらぶら街と練り歩く。

対人戦を申し込まれたりもしたが、今日の所は勘弁してもらった。

第7エリアのようなケンカ腰の相手が居なかったのは幸いだった。


「スピ、お待たせ。宿前に来てくれるかしら?」

きっちり2時間後、Seregranceから招集がかかる。

さて、どういう話になったのだろうか。


宿前に戻ると、2人が並んで俺を待っていた。

「来たわね。スピ、着いてきて。」

話し合いの内容も何もなく移動を始める2人。


『ちょっと。結局どうなったんだ?』

パーティーに入り直し、2人の後を追いながら問いかける。

「それは後から説明するけど、今はまず着いてきて。」

有無を言わさない迫力を感じ、質問を重ねることができない。

ただただ2人を後に着いていくことに徹する。



「はい、着いたわよ。」

遠目から見えてなんとなく察していたが、辿り着いたのは教会。

きらびやかな事も無く、質素で静かな佇まいの建物だ。


『ここって、どう見ても教会だよね?』

「ええ、そうよ。」

『結局、どうなったの?』

「女の子同士、じっくりと話し合ったわ。」

SeregranceとErsterSpielerが目で語り合う。


「スピ。あなた、エアスタさんと結婚しなさい!」

『やっぱりそうなったの!?』

「もちろん、リアルでは譲らないわよ。でも、ダンスの中なら別の話。

 色々条件はあるけれど、エアスタさんに譲るわ。」

『ちなみに俺の選択肢は?』

「YES か はい しかないんじゃないかしら。」

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