第4章 第15話

ドリッピーから提案された作戦はこうだ。

「僕が盾役やるから、2人は僕の後ろから着いてきて殴る!」

『シンプル!』


しかし、あのノックバックをどうや

「あのノックバックあるのに、

 どうやって近寄るんだとか思ってるでしょー。」

「思ってる、思ってるー!」

ドリッピーとSeregranceの掛け合いが良い感じになってきてるなぁ。


「ふっふっふー。これでも僕も★★★スキル持ちなんだよねー。

 僕の自己紹介も兼ねてって言ったでしょ?

 どんなスキルか見てもらった方が早いと思って。」


「command equip shield slot no1 end」

ドリッピーの音声コマンドと共に、薄緑に光る半透明の盾が現れる。

半透明である事と共に、目の引くのはその大きさだ。

ドリッピーの身長が150㎝くらいだが、ほぼその全身が隠れている。

「ふっふっふー。これ11エリアのレア盾なんだよー。

 しかも特殊効果が防御範囲拡大!

 軽くて大きい!そして丈夫!」

「ふふ、テレビショッピングのフライパンの宣伝みたい。」

「フ、フライパン…これでも現時点で最強の盾なのに…」

Seregranceの呟きに頭を抱えるドリッピー。


「と、とにかく!

 僕のスキルを見せるから、僕の後ろから着いてきて!」

「はーい。」


「まず、左右どっちかの攻撃を受けたら、

 さっきのスピさんみたいに一気に本体に駆け寄るから!

 僕の後ろを走って着いてきてね。

 今20メートルくらい離れてるけど、残り5メートルくらいで

 急に攻撃が激しくなるから、その辺りで一度止まるよ。

 そこからはしっかりガードしながら進んでいくからね。」

『リッピーがガードしてる間に何かできることは?』

「特に無いよー。火力の高い武器の射程範囲に入ったら、

 僕が必ず攻撃できるスキを作るから、

 攻撃したらすぐに僕の後ろに隠れて。

 ヒットアンドアウェイってヤツだね。」

『了解。いつでもどうぞ!』


ドリッピーは、説明している間も定期的に襲ってきていた左右の腕を

カードし続けてくれていた。

「じゃ、次で行っくよー!」

『オッケー』

「いいわよ!」


右腕の薙ぎ払いがゆっくりと飛んでくる。


ガキンッ


ドリッピーが盾で受け止めると同時に走り出した。

Seregranceと2人で追走する。

一気に駆け寄るが、残り5メートルまであと少しというところで

霧の本体に変化が現れる。

前面に無数の隆起が現れ、そこから大量の足が飛び出してきた。


さっき押し戻されたのはこれか!

慌ててドリッピーの様子を見ると…

ボスに対して左半身を前にした半身の態勢になり、

肩口に盾を構えている。


あれは弱防御態勢だったかな。

弱防御態勢じゃ転倒は無いものの、ノックバックは消せないはず

片膝ついた強防御態勢なら、ノックバックも打ち消せるのだが。


ガキンガキンガキンガキンガキンガキンッ


容赦なく飛んでくる足の連続攻撃。

たまらず後退…しようとするが、ドリッピーはビクともしていない。

『あれ?弱防御態勢でノックバックしないの?』

「ふっふっふー。スピさんだと押し戻されるよー。

 でも僕は押し戻されなーい!

 さぁ2人ともー、ボスに近寄るよー!」

そう言うと、弱防御態勢を維持したままボスに向かって進み始める。

その間も連続攻撃は止むことが無い。


ガキンガキンガキガキガキガキッ


しかしドリッピーは強風の中で傘を差すより簡単そうに、

ゆっくりだが確実に近づいていく。

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