第4章 第12話

「こっちもそろそろ終わるらしいわよ。」

小部屋に入って30秒くらい経ったところで、Seregranceからのチャットが入る。

『オッケー。こっちはもう小部屋で待機中だよ。』

ぼーっと待っていると、そろそろ小部屋の扉が閉まろうかという頃に、

1人のプレイヤーが駆け込んできた。


「いやー、ラッキーでしたー。」


扉が閉まる直前に入ってきたのは HoneySword という名前のプレイヤー。

金色のスキルアイコンが表示されているので★★★スキル持ちのようだ。


『ナイスダッシュでしたね。丁度今閉まるところでしたよ。』

「あー、ほんとですねー。ギリギリだったんですねー。」

ほんわかとした雰囲気の喋り方。

「すみませんー。門番と戦ってもいないのにー。」

『いや、タイミングですから。別に謝ることじゃないですよ。』

453勝20敗。雰囲気とは裏腹にかなりの戦闘数、しかも勝率の高い戦績だ。

さっき倒した大剣男でも、200勝に届かない位だった事を考えると、

少し身構えてしまう。


「すごいですねー。私だと、とても1人では倒せないのでー。」


…最新エリアまで行っているドリッピーですら、門番を1人で倒すのは厳しいと言っていた。

小部屋に1人で待っているからと言って、1人で倒したと言うのはどうだろう。


『いや、パーティーの仲間に助けてもらったんですよ。

 俺は見ての通り弱いので、この部屋で待ちぼうけなんです。』

「あらあら、大丈夫ですよー。そんなに身構えたりしなくてー。

 誰彼構わずPKしかけたりしませんからー。

 ましてや、あの門番を一撃で倒しちゃうような人なんて

 倒せる気がしませんよー。」

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