第4章 第9話

「なんか、このダンジョンから急に難易度高いんじゃない?」

Seregranceがパーティーチャットで話しかける。

「うん、難易度というか面倒くささ?があがってるねー。」

明るく答えるドリッピー。



ダンジョンに入って早々、ボス部屋の扉があった。

しかしこの扉は、このままでは開かないという。


「この部屋の左右に道が続いてるの見える?」

ドリッピーが両手を広げて、それぞれの道を指さしながら続ける。

「それぞれ道の先に小部屋があるんだけど、

 同じパーティーのメンバーが

 その小部屋に入ったままじゃないと

 ボス部屋の扉が開かないんだよねー。

 一度入っても小部屋から出ちゃうと

 やっぱりボス部屋開かなくなっちゃうから、

 最低でも3人必要って訳。」


『それで、わざわざ第7エリアまで戻ってきてくれたのか。』

「そうだよー。

 スピさんの戦績だとー。

 パーティー集まらなくてー。

 大変だろうなーと思ってー。

 なんなら、小部屋まで付き添いするつもりだったんだけどー。

 多分二人とも付き添い必要ないくらい強いよねー。

 ほんとにそれ初心者装備?」


勝手にスネはじめたドリッピーの言葉をサラッと流して、Seregranceが問いかける。

「小部屋に入ってボス部屋の扉を開けるのは良いんだけど、

 その後私たちはどうしたらいいの?

 そのまま小部屋に待機するの?」

「ああ、それは大丈夫。

 残ったメンバーが全員ボス部屋に入ると、

 小部屋にいるメンバーは勝手に転送されるから。」


『おっけー。んじゃセレは右の道をよろしく。

 俺は左の道に行くよ。

 リッピー、悪いけどボス部屋の扉が開いたらよろしくね。』

「はいなー。

 せっかくのメインダンジョンだし、

 ここで待ちぼうけよりは

 ダンジョンのギミック攻略の方が楽しいと思うよ。

 スピさんならここで待ってる間でも、

 ある意味退屈しないかもしれないけど。

 ボクならPK仕掛けられることも無いと思うから、

 のんびり待ってることにするよ。

 アドバイスはするからねー。

 いってらっしゃーい。」

クスクスと笑うドリッピーに苦笑いしつつ手をふると、左の道に足を向けた。


道すがらドリッピーがパーティーチャットで色々と教えてくれる。

「このゲームはさ。

 エリア毎にゲームのルールや仕様が若干変わるんだよね。

 アップデートされて新エリアが拡張されると、

 そのエリアに新しい仕様が加わるんだけど、

 調整がめんどくさいのか、

 新しい仕様が過去のエリアには適用されないんだよね。

 だから、先に進むたびに段々と仕様が増えていくって訳。」


『なるほど。

 じゃぁ熟練度の上限もエリア毎で設定されてるから、

 逆走して一度下がると下がりっぱなしってことなのかな。』


「そうなんだろうねー。内部的にどこまで上がってるかとか

 覚えておくような仕組みになってないんだと思うよ。

 ダンジョンのギミックも先に進むにつれて

 だんだんと手間が増えるようになってるでしょ。

 前のエリアのギミックを取り入れつつ、

 新しいエリアのギミックが加わるから、

 どんどん手間が増えていくんだよ。

 この先のエリアになると、

 そもそもメインダンジョンが隠されてて

 入口を探すところから始めなきゃいけなかったりするから。」


「それは謎解き的な感じなの?」

Seregranceが喰いついた。

「謎解きだったり、

 クエストクリアしなきゃいけなかったり、

 色々だよ。

 今まで大した話してなかったNPCが、

 一定期間過ぎると急にヒント話しだしたりとか、

 色々凝ったギミックになってるよ。」


『単純に先に進むだけでも時間がかかるってことか。』


「うん。でも、前のエリアに戻るとデメリットがあるからねー。

 各エリアでやっておくべき事はやっておいた方が良いよ。

 特に第8エリアは重要だからね。」

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