プライベート再会 男性視点
今日は、あの伝説のアニメの限定復刻盤があの店限定で発売されるんだよな。
浮足立った隠れオタクの俺が向かった先に、例の婚活美女がいたのだ。
なんと今まさにお目当ての商品を2つも買ったオタク男がいる。それでは、俺の分がなくなってしまう。早めに入手するべく、仕事を定時で切り上げたというのに。
背に腹は代えられない。よし、いざ乗り込むぞ。
「あら、あなたも、これを買いに来たの?」
美女は微笑む。
「まぁ……」
くすっと珍しく美女が笑った。
「あと1つしかないので、お譲りしますわ」
そうか、さっきの男が2つも買ったからか。仕事中抜けだして、いや、朝一に来るべきだった。仕事を休んででも。
「いや、俺はいいですよ。お譲りします。でも、限定DVDは観たかったかなぁ」
まずい、つい本音が出てしまった。
「一緒に観ますか?」
「でも、お客様とそういったプライベートな交流は、まずいので」
「観たくないのですか?」
「観たいです」
また本音が出てしまった。
「お願いがあります。私と模擬デートじゃないデートをしていただけますか?」
「はい?」
俺は自分の耳を疑った。
「やっぱり嫌ですよね」
彼女の表情が暗くなる。
「嫌、じゃないですけれど。俺なんかでいいのですか? あなた美人だし」
彼女は顔を真っ赤にして
「もう少しあなたと一緒に居たいから、お誘いしているのに」
「俺なんかで?」
俺は自分の人差し指を自分に向けた。
「手をだしてください」
手を出すと、彼女が手を握った。
「鑑賞中は手をつないでいてください」
「―――はい」
二度目の内容は全然頭に入ってこなかった。
俺はそんなに女性に免疫がないから、手を握っただけで、頭は真っ白で、何も考えられなくなっていたんだ。
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