恋愛したいのですが 女性視点


「恋愛したいのですが」

 はじめての恋愛相談所。声を発してみた。緊張マックスの私。落ち着け!! 目の前には端正な顔立ちのモデルのような男性がいる。正直、このような男性と話したことはないので、緊張を悟られないようにしなければ。


「ここは恋愛相談所ですから」

 ここは、恋活カウンセラーは基本異性と決まっているらしい。女性には男性。男性には女性。そんな口コミをネットのサイトで読んで、ここに決めた。今まで彼氏いない歴年齢の私には、こういったところが一番いいだろう。


 ここは若い異性が担当するというこだわりを持ち、あえてデート練習もあるらしい。模擬デートだ。


 アドバイスまでしてもらえるとは!! ありがたい。アドバイス通りにすれば、基本、恋愛できるらしい。


「あなたみたいな若い男が担当になるってわけ?」

 どうしても、このような言い方しかできない自分が歯がゆい。


「お客様、まずはこちらのシステムを説明して納得していただいた上でご入会するかどうかを決定していただきます」


「細かいことはいいから、入会決定でお願いします」

 だって、あらゆる口コミサイトで精査したうえでここを選んだのだから、入会するに決まっているでしょ。


「では、相手へのご希望は?」


「希望はないわ」

 だって今まで顔や学力で好きになっても性格が悪いなんてことは多々あったわ。


「じゃあ実際にお写真を見て決めていただきますか?」

 もしかして、私が顔で選ぶようなタイプの女だと思っているんじゃないの? この男、顔もいいし、きっと女を顔で決めるタイプだわ。


「あなたが決めてよ」

 結局出た言葉が、こんなぶっきらぼうな一言だなんて、私ってだめだわ。


「まずは、入会申込書にあなたの経歴や個人情報や趣味などをご記入くださいませ」

 こんなイケメンな男性の前に十分以上二人きりで会話するなんて、手が震えるわ。緊張を悟られないように、なんとか字を書かないと。


 そうだ、この男、恋人がいるかもしれない。そうすれば、私の緊張も半減するわ。

「あなた恋愛していないの?」


「あいにくしてはおりませんが」

 恋人なしのイケメン男性なんて、私のストライクゾーンに直球じゃない。せめて恋愛中ならば、意識しないで済んだかもしれないのに。


「恋愛してもいない人がアドバイザーになるなんて笑っちゃうわね」

 私の馬鹿、ついこんなことを言ってしまったわ。私が緊張するから、せめてもう少し距離が欲しい。顔が赤くなるわ。


「しかし、独身の異性と話をしたり、模擬デートをすることで、練習していただくという弊社の考えでございますから」


 どこを見つめればいいの? 変に目をそらしたら、挙動不審とか男に慣れていないって思われそうよね。この人の瞳をじっとみつめる。あれ? 彼のほうが視線をそらしてしまった。まずい、見つめすぎてやばい女だと思われたのでは。


 男と女の思いは交差して絡み合うのである。


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