第54話
流石に飛んでいるドラゴンが目撃されたのか、それとも使った魔法のせいか、しばらくすると5人の国家魔術師達がやってきた。国家魔術師だけに与えられる制服を着ていた為すぐに分かった。
流石にドラゴンの討伐となると放っておくわけにもいかず、俺達はその間鎮火に勤しんでいた。
国家魔術師達は俺達を見るなりまず驚き……そして、何やら密談した後、一人が前に出てきた。
「初めまして、私は国家魔術師のシエルと申します。ドラゴンの目撃情報があり駆けつけたのですが……どうやらお二人が討伐してくださったようですね。魔法学院生にこれだけの力を持った後輩がいる事を嬉しく思うと同時に、感謝を申し上げます」
シエル……聞いた事がある名前だ。確か、そう、あの……ああ、そうだ、シロノアの姉だ。
この場で前に出てきたという事は、この国家魔術師の小隊の長なのだろう。ドラゴンの対処に駆り出されるぐらいだから、極めて優秀な小隊に違いない。
「ありがとうございます。……あの、此方の死体はどうするんですか?」
「そうですね、魔法学院に輸送して研究対象となるでしょう。何せドラゴンの死体は貴重ですから。それに保存状態もいいですし」
「なるほど。輸送は何方が?」
「流石に我々が行いますよ。このサイズを運ぶとなると、飛行ライセンス持ちでも難しいでしょうから」
後ろの男性が声を挟む。恐らく、風属性のエキスパートなのだろう。輸送に関しては問題なさそうだ。
「そうですか。……なら、このスライムも一緒に魔法学院まで連れていってください。人型の珍しいスライムです」
「す、スライム、ですか」
シエルさんが若干困惑している。無理もない、ドラゴンを倒したという人間からいきなりこんな事言われたらイレギュラーが重なって誰でも同じような態度になる。
「お二人は空は飛べないんですか?」
「飛べなくはないですが、まあ、こんな服装ですので」
「……なるほど。確かにそれは難しいですね」
わざとらしくネクタイを見せる。……気付かれただろうか。
「とりあえず、この子もお願いいたします。……私の大切な友人ですので」
リゼがニッコリと笑い、シエルさんにスライムを渡す。ちなみにスライムは寝ている。……多分寝ている。もしかしたら恐怖で気を失っているだけかもしれない。
「わ、わかりました」
シエルさんの顔が引きつっている。まぁ、そうなるよな。
「学院についたらシラヌイという教師に引き渡してください。……私の友人です、と一声添えて」
おー、怖い怖い。
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